【2025年版】売買物件とは?宅建士が解説する基礎知識と取引の流れ

目次

  1. 売買物件とは?基本的な定義

  2. 売買物件の種類と特徴

  3. 売買物件を購入する流れ

  4. 売買物件を売却する流れ

  5. 売買物件取引に必要な書類

  6. 売買物件取引にかかる費用

  7. よくある質問(FAQ)


導入

「売買物件って、賃貸物件と何が違うの?」

私が不動産の相談を受ける中で、意外と多いのがこの質問です。

売買物件とは、簡単に言えば「売ったり買ったりできる不動産」のこと。賃貸物件は借りるものですが、売買物件は所有権を移転するものです。

ただ、実際の取引では「分譲物件と仲介物件の違い」「買う側と売る側で必要な書類が違う」など、知っておくべきポイントがたくさんあります。

(参考:不動産ジャパン「不動産取引の流れ」https://www.fudousan.or.jp/kiso/buy/1_1.html

この記事では、売買物件の基礎知識から取引の流れまで、私の実務経験を交えて解説します。


1. 売買物件とは?基本的な定義

売買物件の意味

売買物件とは、売却または購入の対象となる不動産のことです。

具体的には以下のような不動産が該当します。

  • 土地

  • 一戸建て(新築・中古)

  • マンション(新築・中古)

  • アパート一棟

  • 事業用不動産(店舗・事務所・倉庫など)

私がお客様に説明する際は、こう伝えています。

「賃貸物件は『借りる』ものですが、売買物件は『買う』または『売る』ものです。所有権が移転するので、購入すればご自身の資産になります。」

賃貸物件との違い

売買物件と賃貸物件の最大の違いは所有権の移転の有無です。

項目

売買物件

賃貸物件

所有権

購入者に移転

大家さんのまま

初期費用

物件価格+諸費用

敷金・礼金など

ランニングコスト

固定資産税・修繕費

家賃・管理費

資産性

あり

なし

自由度

高い(リフォーム自由)

制限あり

私が担当したお客様でも、「将来的に資産として残したい」「自由にリフォームしたい」という方は売買物件を、「転勤の可能性がある」「まとまった資金がない」という方は賃貸物件を選ばれることが多いです。


2. 売買物件の種類と特徴

分譲物件と仲介物件

売買物件は、販売形態によって分譲物件仲介物件に分けられます。

(参考:不動産ジャパン「不動産取引の流れ」https://www.fudousan.or.jp/kiso/buy/1_1.html

分譲物件 売主である不動産会社(デベロッパー)から直接購入する物件です。

私の経験では、新築マンションや大規模な新築一戸建て分譲地がこれに該当します。

特徴

  • 仲介手数料がかからないことが多い

  • モデルルームで実物を確認できる

  • 価格交渉の余地が少ない傾向

仲介物件 売主(個人または法人)から、不動産会社の仲介を通じて購入する物件です。

中古物件や個人が売主の新築物件がこれに該当します。

特徴

  • 仲介手数料が発生する

  • 価格交渉の余地がある場合も

  • 物件の状態は個別に確認が必要

新築と中古の違い

売買物件は、築年数によって新築物件中古物件に分類されます。

新築物件の定義 建築後1年未満かつ未入居の物件が「新築」と表示できます。建築後1年以上経過している場合や、一度でも入居があった場合は「中古」扱いになります。

私が静岡市で担当した事例では、建築後10ヶ月の未入居物件でも「新築」として販売できましたが、同じ物件が1年2ヶ月経過した時点で「築浅中古」として再販売されたケースがありました。


3. 売買物件を購入する流れ

購入の7ステップ

売買物件を購入する場合の一般的な流れは以下の通りです。

(参考:三井のリハウス「不動産売買の基礎知識」https://www.rehouse.co.jp/relifemode/column/at/at_0154/

①希望条件の整理 住みたいエリア、広さ、間取り、予算などを整理します。

②物件探し インターネット、不動産会社への相談、現地見学などで物件を探します。

③資金計画 物件価格だけでなく、諸費用(物件価格の5〜10%程度)も含めた資金計画を立てます。

④購入申し込み 気に入った物件が見つかったら、購入申し込みを行います。申込証拠金を預けることもあります。

⑤重要事項説明・売買契約 宅地建物取引士から重要事項の説明を受け、内容を確認した上で売買契約を締結します。手付金(物件価格の5〜10%程度)を支払います。

⑥住宅ローン契約 住宅ローンを利用する場合、金融機関と正式な契約を結びます。

⑦残金決済・引き渡し 残金を支払い、物件の引き渡しと所有権移転登記を行います。

私の経験では、物件探しから引き渡しまで平均3〜6ヶ月程度かかることが多いです。

購入時の注意点

私が買主様に必ずお伝えしている注意点があります。

①手付金の意味を理解する 手付金は「契約の証」であり、買主都合で解約する場合は手付金を放棄することになります。逆に、売主都合で解約する場合は手付金の倍額が返還されます。

②住宅ローンの事前審査 購入申し込み前に住宅ローンの事前審査を受けておくと、スムーズに進められます。

③契約不適合責任の確認 中古物件の場合、引き渡し後に発覚した不具合(雨漏り、シロアリ被害など)について、売主がどこまで責任を負うかを確認しておくことが重要です。


4. 売買物件を売却する流れ

売却の7ステップ

売買物件を売却する場合の一般的な流れは以下の通りです。

(参考:HOME4U「不動産売却の流れ7ステップを図解」https://www.home4u.jp/sell/juku/course/basic/30-8595

①相場調査 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や「レインズ・マーケット・インフォメーション」で相場を把握します。

②査定依頼 不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安を確認します。

③媒介契約 不動産会社と媒介契約を締結します。

④売却活動 物件情報を公開し、購入希望者を探します。

⑤売買契約 買主と売買契約を締結し、手付金を受け取ります。

⑥決済準備 引き渡しに向けて、必要書類の準備や抵当権抹消の手続きを進めます。

⑦残金決済・引き渡し 残金を受け取り、物件の引き渡しと所有権移転登記を行います。

私の経験では、売却活動開始から成約まで平均3〜6ヶ月程度かかることが多いですが、物件の状態や価格設定によって大きく変わります。

媒介契約の種類

売却を不動産会社に依頼する際の媒介契約には3種類あります。

種類

複数社への依頼

自己発見取引

レインズ登録

一般媒介

可能

可能

任意

専任媒介

不可

可能

7日以内に義務

専属専任媒介

不可

不可

5日以内に義務

私がお客様にアドバイスする際は、「複数社に相談したい」という方には一般媒介を、「1社に任せて集中的に売却活動をしてほしい」という方には専任媒介をおすすめしています。


5. 売買物件取引に必要な書類

買主が用意する書類

買主が用意する主な書類は以下の通りです。

書類名

用途

取得場所

本人確認書類

本人確認

住民票

登記手続き

市区町村役場

印鑑証明書

契約・登記

市区町村役場

収入証明書

住宅ローン審査

勤務先・税務署

売主が用意する書類

売主が用意する主な書類は以下の通りです。

(参考:ノムコム「不動産売却時に必要な書類とは?」https://www.nomu.com/seller/column/20210820.html

書類名

用途

取得場所

登記済権利証または登記識別情報

所有権移転

手元にあるもの

本人確認書類

本人確認

印鑑証明書

契約・登記

市区町村役場

固定資産税納税通知書

税金精算

毎年送付されるもの

境界確認書・測量図

土地の範囲確認

土地家屋調査士

私が担当した事例で、登記済権利証を紛失していたというケースがありました。権利証は再発行できませんが、司法書士による本人確認制度を利用することで登記手続きを進められました。ただし、追加費用がかかるので、権利証は大切に保管しておくことをおすすめします。


6. 売買物件取引にかかる費用

購入時にかかる費用

売買物件を購入する際にかかる主な費用は以下の通りです。

費用項目

目安金額

仲介手数料

物件価格×3%+6万円+税(上限)

登録免許税

固定資産税評価額×税率

印紙税

契約金額に応じて1万〜6万円程度

司法書士報酬

10〜20万円程度

住宅ローン関連費用

借入額の2〜3%程度

火災保険料

物件・補償内容による

不動産取得税

固定資産税評価額×税率

私の経験では、諸費用の総額は物件価格の5〜10%程度になることが多いです。3,000万円の物件であれば、150〜300万円程度の諸費用がかかると考えておくとよいでしょう。

売却時にかかる費用

売買物件を売却する際にかかる主な費用は以下の通りです。

費用項目

目安金額

仲介手数料

売却価格×3%+6万円+税(上限)

印紙税

契約金額に応じて1万〜6万円程度

抵当権抹消費用

1〜2万円程度

譲渡所得税

売却益に対して課税

2024年7月1日からの変更点として、800万円以下の低廉な空き家等については、仲介手数料の上限額が30万円(税込33万円)に引き上げられました。


7. よくある質問(FAQ)

Q1: 売買物件と賃貸物件、どちらがお得ですか?

A: 一概にどちらがお得とは言えません。

私がお客様にお伝えしているのは、「ライフプランに合わせて選ぶこと」です。

売買物件が向いている方

  • 長期間同じ場所に住む予定がある

  • 資産として不動産を持ちたい

  • 自由にリフォームしたい

賃貸物件が向いている方

  • 転勤の可能性がある

  • まとまった資金を用意するのが難しい

  • 住む場所を柔軟に変えたい

Q2: 不動産売買にかかる期間はどのくらいですか?

A: 一般的に3〜6ヶ月程度かかります。

購入の場合は、物件探しから引き渡しまでが目安です。売却の場合は、売却活動開始から成約までの期間です。

ただし、物件の状態や価格設定、市場の状況によって大きく変わります。私が担当した静岡市駿河区の中古マンションは、売り出しから1ヶ月で成約したケースもあれば、1年以上かかったケースもあります。

Q3: 相続した不動産を売却する場合、何か注意点はありますか?

A: 相続登記が必要です。

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。

(参考:東京法務局「相続登記が義務化」)

私が担当した事例でも、相続登記が済んでいないために売却が進められなかったケースがありました。相続した不動産の売却を検討している方は、まず相続登記の確認をおすすめします。


まとめ

売買物件についてのポイントを3つにまとめます。

売買物件とは「売買の対象となる不動産」:賃貸物件との違いは所有権の移転の有無です。購入すればご自身の資産になります。

分譲物件と仲介物件で取引の仕方が異なる:分譲物件は売主から直接購入、仲介物件は不動産会社を通じて購入します。仲介手数料の有無も異なります。

必要書類と費用を事前に把握しておくことが重要:購入時は諸費用として物件価格の5〜10%程度、売却時は仲介手数料や譲渡所得税などがかかります。

静岡市で不動産の売買をお考えの方、「売却と購入、どちらを先にすべき?」「相続した不動産をどうすればいい?」といったご相談も、お気軽にAuthentill Styleまでお問い合わせください。


■ 参考データ出典一覧

著者情報

佐須陽介

佐須陽介

代表・宅地建物取引士

宅地建物取引士(静岡) 第 025298号 賃貸不動産経営管理士(2)第 059325号 住宅ローンアドバイザー

業界歴15

静岡市出身、現在は静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。これまで新築・中古マンション、戸建、賃貸管理まで幅広く携わってきました。

数多くのお客様の住まい選びをサポート。住宅ローンの借り換え支援なども含め、現実的な選択肢を提示することに定評があります。

得意分野: 不動産仲介、住宅ローンアドバイス、賃貸管理、不動産コンサルティング
趣味: 釣り、映画鑑賞、子どもと過ごす時間。休日には街を歩きながら、地域の魅力を再発見することが楽しみです。

静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。私自身もかつて住宅ローンの借り換えを経験し、「数字に強く、現実的な選択肢を示すこと」を常に心がけています。代表メッセージ(Authentill Style)にあるように、お客様に寄り添い、安心できる住まい選びを一緒に進めたいと心から願っています。

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