賃貸物件を買いたい!入居中の物件を購入する方法と交渉のコツを宅建士が解説

目次

  1. 「賃貸物件を買いたい」という相談が増えている理由

  2. 賃貸物件を購入する3つの方法

  3. オーナーへの交渉を成功させる5つのポイント

  4. 私が最も推奨する購入アプローチ

  5. 賃貸物件購入でやってはいけないNG行動

  6. 今すぐできる最初の一歩


導入

「この部屋、ずっと住み続けたいから買えないかな…」

私のもとには、こうした相談が増えています。静岡市葵区で10年以上賃貸に住んでいる方から「家賃を払い続けるより、いっそ買い取りたい」というご相談を受けたのは、つい先月のことでした。

ティーガッツケイ株式会社の調査(2025年8月)によると、オーナーチェンジ物件を認識している不動産投資家の75%以上が「購入に魅力を感じる」と回答しています。入居者にとっても、住み慣れた物件を購入できれば引越しの手間もなく、理想的な選択肢となり得ます。

この記事では、宅地建物取引士として賃貸仲介・管理から新築建売・分譲マンション販売まで幅広く経験してきた私が、賃貸物件を購入するための具体的な方法と交渉のコツを、実務経験をもとに解説します。


「賃貸物件を買いたい」という相談が増えている理由

不動産価格高騰による「買えない」問題

住み慣れた賃貸物件の購入を検討する方が増えている背景には、新築・中古ともにマンション価格が高騰していることがあります。

不動産経済研究所の発表によると、首都圏の新築分譲マンションの平均価格は8,958万円(2025年上半期)に達し、3年連続で最高値を更新しました。東京23区に至っては1億3,309万円という水準です。

中古マンションも同様で、首都圏の平均価格は5,053万円と初めて5,000万円台に突入しています(LIFULL HOME'S調べ)。

静岡市での私の実感

静岡市でも同じ傾向を感じています。駿河区や葵区の駅近物件は、数年前と比べて明らかに価格が上がりました。「新しく探すより、今住んでいる物件を買った方が現実的かも」という発想が生まれるのは自然なことです。

購入意欲の高まりを裏付けるデータ

前述の調査では、オーナーチェンジ物件に魅力を感じる理由として「購入後すぐに家賃収入が得られること」(57.7%)が最多でした。これは投資家目線の回答ですが、入居者目線で言い換えれば「住み慣れた物件で、すぐに自分のものとして暮らせる」というメリットに通じます。


賃貸物件を購入する3つの方法

賃貸物件を購入するには、主に3つのアプローチがあります。それぞれの特徴と、私が実務で関わった事例をご紹介します。

方法1:オーナーに直接交渉して購入する

最もシンプルな方法ですが、成功率は決して高くありません。

手順

  1. 賃貸借契約書でオーナー(貸主)の連絡先を確認

  2. 管理会社経由、または直接オーナーに購入意思を伝える

  3. 売却意思があれば価格交渉へ

  4. 合意後、売買契約を締結

私の実践例

2024年に静岡市葵区の築30年・3DKマンションで、入居者の方から「オーナーに購入を打診したい」という相談を受けました。管理会社として間に入り、オーナーに意向を確認したところ、「相続対策で売却を考えていた」とのこと。タイミングが合い、市場価格より約10%安い価格で成約に至りました。

成功のポイント

  • オーナーが売却を検討しているタイミングを見極める

  • いきなり「売ってください」ではなく、まず意向を確認する姿勢

よくある失敗パターン

  • オーナーに対して一方的に購入希望を伝え、関係が悪化する

  • 価格交渉で強気に出すぎて、交渉が決裂する


方法2:オーナーチェンジ物件として売りに出るのを待つ

オーナーが投資用物件として売却を決めた場合、入居者がいる状態(オーナーチェンジ)で市場に出ることがあります。

手順

  1. 不動産ポータルサイトや地元の不動産会社で情報収集

  2. 自分が住んでいる物件が売りに出たら購入を検討

  3. 不動産会社を通じて購入手続き

業界データ

不動産経済研究所の2025年データによると、首都圏の投資用マンションは供給戸数が前年同期比14%減少しています。物件数自体が減っているため、自分が住んでいる物件が売りに出る可能性は、エリアによっては低いかもしれません。

私の実践例

2025年に入ってから、静岡市駿河区で「住んでいるマンションが売りに出た」という相談が2件ありました。1件は投資家に先を越されてしまいましたが、もう1件は管理会社経由で優先交渉権を得て、入居者の方が購入に成功しました。

成功のポイント

  • 管理会社と良好な関係を築き、売却情報を早めにキャッチする

  • 購入資金の準備(住宅ローンの事前審査など)を済ませておく


方法3:賃貸マンションの一棟ごと購入する

これは少し特殊なケースですが、賃貸マンションの一室だけを購入することは基本的に難しいという点を理解しておく必要があります。

不動産個人間売買サポートPROによると、「賃貸マンションの場合は、住んでいる一部屋のみの購入を交渉しても、受け入れてもらえないことがほとんど」とのことです。

オーナーにとって、マンション一棟は収益を生む資産であり、一室だけを切り売りするメリットがないためです。

例外的なケース

  • 分譲マンションの一室をオーナーが賃貸に出している場合

  • 区分所有権が設定されている物件

私の経験では、静岡市内の分譲マンションで「オーナーが転勤で賃貸に出していた物件を、入居者が購入した」という事例があります。この場合は区分所有なので、一室単位での売買が可能でした。


オーナーへの交渉を成功させる5つのポイント

直接交渉を検討している方に向けて、成功率を上げるための具体的なポイントをお伝えします。

ポイント1:いきなり「売ってください」と言わない

オーナーにとって賃貸物件は、毎月安定した家賃収入を生む大切な資産です。代々受け継いできた物件であれば、思い入れも強いでしょう。

まずは「長く住ませていただいて感謝している」という気持ちを伝え、「もし将来売却を検討される際は、ぜひ声をかけていただけないか」と打診するのが効果的です。

私の失敗談

実は以前、入居者の方に頼まれてオーナーに直接「購入希望の方がいます」と伝えたところ、「売る気はない」と即答されたことがあります。もう少し段階を踏んで、オーナーの意向を探るべきでした。

ポイント2:オーナーの状況を把握する

売却に前向きになりやすいオーナーの状況として、以下のようなケースがあります:

  • 相続対策を考えている:現金化して分割しやすくしたい

  • 複数物件を所有していて管理しきれない:手放したい物件がある

  • 築年数が古く、修繕費用の負担が重い:売却して負担を減らしたい

  • 高齢で賃貸経営を続けるのが難しい

管理会社に確認すれば、オーナーの状況をある程度把握できることがあります。

ポイント3:適正価格を提示する準備をする

購入を打診する前に、物件の適正価格を把握しておくことが重要です。

近隣の類似物件の売買事例を調べたり、不動産会社に査定を依頼したりして、相場観を持っておきましょう。オーナーが「この価格なら売ってもいいかも」と思える金額を提示できるかどうかが、交渉の成否を分けます。

ポイント4:住宅ローンの事前準備を済ませる

オーナーとの個人間売買では、住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。

通常の不動産売買では、不動産会社が重要事項説明書を作成し、金融機関に提出します。しかし個人間売買では、この書類がないため、融資を断られるケースも少なくありません。

解決策として、不動産会社に仲介を依頼することをお勧めします。仲介手数料はかかりますが、住宅ローンの審査がスムーズに進み、契約書類の作成も任せられます。

ポイント5:タイミングを見極める

交渉のタイミングとして適しているのは:

  • 契約更新の時期:オーナーと連絡を取る自然な機会

  • 大規模修繕の前後:オーナーが費用負担を意識している時期

  • 年度末:確定申告や資産整理を考える時期

逆に避けた方がいいのは、入居直後です。まだ信頼関係ができていない段階での購入打診は、オーナーに警戒心を与えます。


私が最も推奨する購入アプローチ

ここまで複数の方法をご紹介しましたが、私が最も推奨するのは「不動産会社を間に入れて、オーナーに購入意向を伝える」方法です。

推奨する理由

  1. オーナーとの関係を壊さずに済む:直接交渉で気まずくなるリスクを回避

  2. 住宅ローンの審査がスムーズ:重要事項説明書を作成してもらえる

  3. 適正価格の判断ができる:プロの査定を受けられる

  4. 契約トラブルを防げる:売買契約書の作成を任せられる

実際の成功事例

2024年末、静岡市清水区の築25年・2LDKマンションで、入居者の方から購入相談を受けました。当社がオーナーに連絡を取り、売却意向を確認したところ、「子どもに現金で残したい」というご事情があることが分かりました。

査定価格は1,850万円でしたが、オーナーの希望と入居者の予算をすり合わせ、1,780万円で合意。仲介手数料を含めても、市場で同等物件を探すより約200万円安く購入できました。

Authentill Styleでのサポート

私が代表を務めるAuthentill Styleでは、このような「賃貸物件の購入」に関する無料相談を承っています。静岡市で物件購入をお考えの方は、お気軽にご相談ください。初期費用0円でご相談いただけます。


賃貸物件購入でやってはいけないNG行動

実務で見てきた失敗パターンをご紹介します。これらを避けるだけでも、成功率は上がります。

NG行動1:オーナーに直接押しかける

賃貸借契約書にオーナーの住所が記載されていても、アポなしで自宅を訪問するのは絶対にNGです。

私が管理している物件で、入居者がオーナー宅を訪問してしまい、オーナーが非常に不快に感じたケースがありました。結果的に「この入居者には売りたくない」という感情的な反応につながってしまいました。

NG行動2:相場を無視した低価格を提示する

「安く買いたい」という気持ちは分かりますが、相場から大きく乖離した価格を提示すると、交渉自体が成立しません

オーナーチェンジ物件に関する調査では、購入に魅力を感じない理由として「想定外のリフォームや修繕費用が発生するリスク」(66.7%)が挙げられています。オーナー側も、売却後のリスクを考慮した価格を求めます。

NG行動3:家賃滞納の履歴がある状態で交渉する

過去に家賃滞納があると、オーナーからの信頼を得ることが難しく、購入交渉は成功しにくくなります。

「この人に売っても、住宅ローンを払えるのか」という不安を与えてしまうためです。購入を検討するなら、まず家賃の支払い実績を積み重ねることが先決です。

NG行動4:個人間売買で契約書を自作する

費用を抑えたい気持ちから、契約書を自分で作成しようとする方がいますが、これは危険です。

不動産売買には、瑕疵担保責任(契約不適合責任)や境界確認、設備の引継ぎなど、専門的な知識が必要な項目が多数あります。後々トラブルになるリスクを考えれば、不動産会社に仲介を依頼する費用は「保険」と考えた方が良いでしょう。

NG行動5:購入後の費用を考慮しない

賃貸から持ち家になると、以下の費用が新たに発生します:

  • 固定資産税・都市計画税:年間数万円〜数十万円

  • 修繕積立金・管理費:マンションの場合

  • 火災保険料:自己負担

  • 大規模修繕の分担金:築年数によっては近い将来発生

「家賃がなくなるから得」という単純計算ではなく、総コストを試算してから購入を決断してください。


今すぐできる最初の一歩

記事を読んで「やってみたい」と思った方に、明日からできる具体的なアクションをお伝えします。

ステップ1:賃貸借契約書を確認する(所要時間:10分)

まず、手元の賃貸借契約書を見直してください。確認するポイントは:

  • 貸主(オーナー)の氏名と連絡先

  • 管理会社の連絡先

  • 契約期間と更新時期

  • 譲渡・売買に関する特約の有無

ステップ2:物件の相場を調べる(所要時間:30分)

SUUMOやHOME'Sなどの不動産ポータルサイトで、同じマンション・同じエリアの類似物件がいくらで売られているか調べましょう。

相場観を持っておくことで、オーナーとの交渉時に自信を持って話ができます。

ステップ3:住宅ローンの事前審査を受ける(所要時間:1〜2週間)

購入意思が固まってきたら、金融機関で住宅ローンの事前審査を受けておくことをお勧めします。

「審査に通るか分からない」という状態では、オーナーに購入意向を伝えても説得力がありません。事前審査に通っていれば、本気度が伝わります

ステップ4:不動産会社に相談する

最後のステップとして、地元の不動産会社に相談してください。

  • 物件の査定を依頼する

  • オーナーへの打診方法を相談する

  • 住宅ローンの仲介について確認する

相談は無料で受け付けている会社がほとんどです。


まとめ

賃貸物件を購入するためのポイントを3つにまとめます:

  1. 購入は可能だが、オーナーの同意が必須:売る気のないオーナーからは買えない

  2. 直接交渉より、不動産会社を介した方が成功率が高い:住宅ローンの問題もクリアしやすい

  3. タイミングと準備が重要:相場を把握し、事前審査を済ませておく

不動産価格が高騰している中、住み慣れた物件を購入できれば、新たに探す手間もコストも抑えられます。まずは契約書の確認から始めてみてください。


静岡市で賃貸物件の購入をお考えの方へ

静岡市で「今住んでいる賃貸を買いたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

Authentill Styleでは、オーナーへの打診から住宅ローンの手続き、売買契約のサポートまで、ワンストップで対応いたします。地域密着だからこそ実現できる確かな成果と、成約までのしっかりしたサポートをお約束します。

初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。


著者プロフィール

佐須陽介(さす ようすけ)

株式会社Authentill Style 代表取締役

  • 宅地建物取引士(静岡)第025298号

  • 賃貸不動産経営管理士(2)第059325号

  • 住宅ローンアドバイザー

静岡市生まれ・静岡市育ち。不動産業界にて、賃貸仲介、賃貸管理、新築建売住宅販売、分譲マンション販売を経験。現在は静岡市を中心に、賃貸・売買の両面から不動産に関するサポートを行っている。


参考文献・出典

著者情報

佐須陽介

佐須陽介

代表・宅地建物取引士

宅地建物取引士(静岡) 第 025298号 賃貸不動産経営管理士(2)第 059325号 住宅ローンアドバイザー

業界歴15

静岡市出身、現在は静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。これまで新築・中古マンション、戸建、賃貸管理まで幅広く携わってきました。

数多くのお客様の住まい選びをサポート。住宅ローンの借り換え支援なども含め、現実的な選択肢を提示することに定評があります。

得意分野: 不動産仲介、住宅ローンアドバイス、賃貸管理、不動産コンサルティング
趣味: 釣り、映画鑑賞、子どもと過ごす時間。休日には街を歩きながら、地域の魅力を再発見することが楽しみです。

静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。私自身もかつて住宅ローンの借り換えを経験し、「数字に強く、現実的な選択肢を示すこと」を常に心がけています。代表メッセージ(Authentill Style)にあるように、お客様に寄り添い、安心できる住まい選びを一緒に進めたいと心から願っています。

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