賃貸の家賃交渉術|成功率を上げる5つのコツと注意点

導入部

「この物件、あと3,000円安くなれば契約するのに…」

私のもとには、このような相談が月に5〜6件寄せられます。実は、賃貸物件の家賃は交渉次第で下がる可能性があります。ある不動産会社の調査によると、家賃交渉を行った人の約8割が何らかの値下げに成功しているというデータもあります(参考:オウチーノニュース https://o-uccino.com/front/articles/48374 )。

一方で、アットホームの2025年3月調査では、多くのエリアで募集家賃が前年同月を上回り、過去10年間の最高値を記録したエリアも多数あります(参考:アットホーム「全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向」2025年3月 https://athome-inc.jp/news/data/market/chintai-yachin-202501/ )。つまり、家賃は上昇傾向にある中で、交渉のやり方次第では値下げも可能ということです。

この記事では、私が賃貸仲介の現場で実際に経験した交渉の成功・失敗事例をもとに、家賃交渉を成功させるための具体的な方法をお伝えします。


目次

  1. 賃貸物件の家賃交渉は本当にできるのか

  2. 家賃交渉が成功しやすい5つの条件

  3. 家賃交渉の具体的な進め方

  4. 家賃以外に交渉できる項目

  5. 絶対にやってはいけないNG行動

  6. 今すぐできる家賃交渉の準備


賃貸物件の家賃交渉は本当にできるのか

家賃交渉の成功率はどのくらいか

結論から言うと、家賃交渉は可能です。ただし、すべての物件・すべての時期で交渉が通るわけではありません。

私の実務経験では、適切なタイミングと条件が揃った場合、交渉成功率は7〜8割程度です。一方で、繁忙期(1〜3月)や人気エリアの物件では、交渉自体を断られるケースも少なくありません。

SUUMO(2025年2月更新)の記事によると、家賃交渉の現実的な値下げ幅は2,000〜3,000円程度とされています。家賃の1〜2割といった大幅な値下げ交渉は、成功率が大きく下がります(参考:SUUMO「家賃交渉の極意」2025年2月 https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chintai/fr_money/yachin_kousyo/ )。

なぜ家賃交渉ができるのか

大家さんにとって最大のリスクは「空室」です。家賃収入がゼロになるよりは、多少値下げしても入居してもらったほうが経済的にプラスになります。

私が2025年7月に担当した静岡市駿河区の築22年・1Kアパートでは、4ヶ月間空室が続いていました。オーナー様と相談の上、家賃を5万8,000円から5万5,000円に改定したところ、2週間で申し込みが入りました。月3,000円の値下げでも、4ヶ月分の空室損失(約23万円)を考えれば、オーナー様にとっても合理的な判断だったのです。


家賃交渉が成功しやすい5つの条件

条件1:閑散期(6〜8月)に交渉する

不動産業界には繁忙期と閑散期があります。特に6〜8月は閑散期にあたり、この時期に残っている物件は「来年の繁忙期まで空室が続くリスク」を大家さんが意識するため、交渉に応じてもらいやすくなります。

私の経験では、7月・8月の交渉成功率は繁忙期(2〜3月)と比較して1.5倍以上高いと感じています。2025年8月に担当した静岡市葵区の物件では、「この時期に決めてもらえるなら」とオーナー様が礼金を半額にしてくださったケースもありました。

逆に、1〜3月の繁忙期は交渉が通りにくくなります。ライバルが多く、「交渉するなら他の人に決める」と言われてしまうリスクがあります。

条件2:空室期間が長い物件を狙う

空室期間が3ヶ月以上続いている物件は、交渉の余地が生まれやすいです。

2025年6月に私が担当した物件では、築28年・2DKのアパートが5ヶ月間空室でした。募集家賃5万2,000円に対して「5万円なら契約します」と交渉したところ、オーナー様が承諾。月2,000円の値下げが実現しました。

物件の空室期間は、不動産会社に「いつから募集していますか?」と聞けば教えてもらえます。遠慮せずに確認してみてください。

条件3:築年数が古い物件

築20年以上の物件は、設備の経年劣化などを理由に交渉しやすい傾向があります。

「給湯器が古いので、家賃を少し下げていただくか、設備を新しくしていただけませんか?」という交渉は、大家さんにとっても納得しやすい内容です。

私が2024年11月に担当した築30年の物件では、「エアコンを新品に交換してもらえれば契約します」という交渉が成立しました。家賃は変わりませんでしたが、入居者にとっては実質的なメリットになりました。

条件4:周辺相場より家賃が高い物件

同じエリア・同じ条件の物件と比較して、明らかに家賃が高い場合は交渉の根拠になります。

具体的には、SUUMOやホームズで同じ駅・同じ間取り・同じ築年数の物件を5〜10件調べ、「周辺相場は○万円なのですが…」と伝える方法が効果的です。

2025年4月に私が対応したケースでは、お客様が事前に周辺相場を調べており、「このエリアの1Kは平均5万5,000円なのに、この物件は6万円ですね」と具体的なデータを示されました。オーナー様も納得され、5万7,000円で契約が成立しました。

条件5:契約更新のタイミング

すでに入居中の方は、契約更新時が交渉のチャンスです。

大家さんにとって、退去されると原状回復費用や新たな入居者募集のコストがかかります。「もう少し家賃を下げていただければ、引き続き住み続けたいのですが」という交渉は、双方にメリットがあります。

私が管理している静岡市内の物件でも、長期入居者からの更新時交渉は比較的応じやすいです。特に滞納歴がなく、きれいに使ってくださっている入居者に対しては、オーナー様も好意的に検討されることが多いです。


家賃交渉の具体的な進め方

ステップ1:周辺相場を調べる

まず、SUUMOやホームズで同条件の物件を検索し、相場を把握します。「最寄駅」「徒歩分数」「間取り」「築年数」の4つの条件を揃えて比較するのがポイントです。

私は2025年9月に担当したお客様に、この方法をお勧めしました。お客様が事前に調べた結果、希望物件の家賃が相場より3,000円高いことが分かり、それを根拠に交渉したところ、2,000円の値下げに成功しました。

ステップ2:申込みの意思を示してから交渉する

「家賃が下がったら契約する」ではなく、「この家賃なら必ず契約します」という意思を明確に伝えることが重要です。

不動産会社の立場からすると、「本気で借りる気がない人の交渉」は大家さんに伝えにくいものです。私も仲介を担当する際、「本気度が伝わる方」の交渉は積極的にオーナー様に取り次ぎますが、冷やかしのような交渉は正直言ってしにくいです。

具体的には、「5万5,000円にしていただけたら、今日申込書を書きます」というように、金額と行動をセットで伝えてください。

ステップ3:仲介担当者を味方につける

家賃交渉は、入居希望者が直接大家さんに交渉するわけではありません。仲介会社の担当者がオーナー様に交渉を取り次ぐ形になります。

だからこそ、「相談ベースで構わないので、オーナーさんに聞いていただけませんか?」という丁寧な姿勢が大切です。高圧的な態度や無理な要求は、仲介担当者のモチベーションを下げてしまいます。

私自身、丁寧に相談してくださるお客様には「何とか力になりたい」と思いますし、オーナー様への伝え方も工夫します。


家賃以外に交渉できる項目

家賃の値下げが難しい場合でも、以下の項目は交渉の余地があります。

フリーレント(入居後1ヶ月家賃無料)

家賃を下げずに実質的な負担を減らせる方法です。大家さんにとっても「家賃を下げた」という形が残らないため、応じてもらいやすい傾向があります。

1ヶ月のフリーレントがつけば、2年間住む場合で換算すると月あたり約4%の値下げと同等の効果があります。

礼金の減額・免除

礼金は法律で決まっているものではなく、交渉可能な費用です。特に閑散期や空室期間が長い物件では、「礼金なし」で募集しているケースも増えています。

2025年7月に私が担当した物件では、「家賃は下げられないが、礼金を1ヶ月から0.5ヶ月に」という形で交渉が成立しました。

設備の交換・追加

「エアコンを新しくしてほしい」「ウォシュレットを付けてほしい」といった設備交渉は、比較的通りやすいです。大家さんにとっても設備費は経費で処理できるため、家賃を下げるよりも応じやすいのです。


絶対にやってはいけないNG行動

NG1:大幅な値下げを要求する

家賃の1〜2割といった大幅な値下げ要求は、ほぼ確実に断られます。それどころか、「この人には貸したくない」と心証を悪くするリスクがあります。

私が2024年12月に経験したケースでは、家賃6万円の物件に対して「5万円にしてほしい」という交渉がありました。オーナー様は「そこまで下げる必要はない」と判断され、交渉は不成立に終わりました。

NG2:繁忙期に交渉する

1〜3月の繁忙期は、大家さんにとって「待っていれば他の人が決めてくれる」時期です。この時期に交渉すると、「他の方に決めます」と言われてしまう可能性が高くなります。

どうしても繁忙期に引っ越しが必要な場合は、家賃交渉よりも物件選びを優先することをお勧めします。

NG3:申込み前に交渉を始める

内見もせず、申込みの意思も示さずに「家賃を下げてください」と言うのは、不動産会社にとって対応しにくい依頼です。

まずは内見をして、「この物件を借りたい」という意思を固めてから交渉を始めてください。

NG4:否定的な言葉から入る

「この家賃は高すぎます」「こんな古い物件でこの家賃は…」といった否定的な表現は避けてください。大家さんの心証を悪くするだけでなく、仲介担当者も交渉しにくくなります。

「素敵な物件なので、ぜひ住みたいのですが、予算の関係で○○円だと助かります」というポジティブな伝え方を心がけてください。


静岡市で賃貸物件をお探しの方、家賃交渉についてご不安がある方は、Authentill Styleにお気軽にご相談ください。物件ごとの交渉可能性を見極め、最適な方法をアドバイスいたします。


今すぐできる家賃交渉の準備

準備1:周辺相場を5件以上調べる

まずはSUUMOやホームズで、希望エリア・希望間取りの物件を5件以上検索してください。駅からの距離や築年数も含めて比較し、相場感をつかんでおきましょう。

所要時間は30分程度です。この準備があるかないかで、交渉の説得力が大きく変わります。

準備2:交渉可能な金額を決めておく

「いくらなら契約する」という金額を事前に決めておいてください。相場から考えて現実的な範囲(2,000〜5,000円程度)で設定しましょう。

準備3:交渉のタイミングを選ぶ

可能であれば、6〜8月の閑散期に物件探しを行うと交渉成功率が上がります。急ぎでない場合は、この時期を狙ってみてください。

準備4:交渉する理由を整理する

「予算の関係で」「周辺相場と比較して」「設備が古いので」など、交渉する理由を1〜2つ用意しておきましょう。理由があると、仲介担当者もオーナー様に伝えやすくなります。


まとめ

賃貸物件の家賃交渉で押さえるべきポイントは3つです。

1つ目は、交渉のタイミングを選ぶこと。6〜8月の閑散期や契約更新時は交渉が通りやすくなります。

2つ目は、現実的な金額で交渉すること。2,000〜5,000円程度の値下げであれば、条件次第で成功する可能性があります。

3つ目は、仲介担当者を味方につけること。丁寧な姿勢と明確な契約意思を示すことで、担当者も積極的に交渉してくれます。

家賃は毎月の固定費です。2,000円の値下げでも、2年間で4万8,000円の節約になります。ぜひこの記事を参考に、納得のいく条件での契約を目指してください。

静岡市で賃貸物件をお探しの方は、Authentill Styleまでお気軽にご相談ください。物件探しから交渉のサポートまで、丁寧に対応いたします。


参考文献

著者情報

佐須陽介

佐須陽介

代表・宅地建物取引士

宅地建物取引士(静岡) 第 025298号 賃貸不動産経営管理士(2)第 059325号 住宅ローンアドバイザー

業界歴15

静岡市出身、現在は静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。これまで新築・中古マンション、戸建、賃貸管理まで幅広く携わってきました。

数多くのお客様の住まい選びをサポート。住宅ローンの借り換え支援なども含め、現実的な選択肢を提示することに定評があります。

得意分野: 不動産仲介、住宅ローンアドバイス、賃貸管理、不動産コンサルティング
趣味: 釣り、映画鑑賞、子どもと過ごす時間。休日には街を歩きながら、地域の魅力を再発見することが楽しみです。

静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。私自身もかつて住宅ローンの借り換えを経験し、「数字に強く、現実的な選択肢を示すこと」を常に心がけています。代表メッセージ(Authentill Style)にあるように、お客様に寄り添い、安心できる住まい選びを一緒に進めたいと心から願っています。

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