家を買うタイミングはいつ?宅建士が教える判断基準と後悔しないコツ

目次

  1. 家を買うタイミングを判断する5つの視点

  2. 住宅ローン金利と市場環境|購入タイミングへの影響

  3. 住宅ローン控除の活用|購入時期で変わる節税効果

  4. 静岡市で家を買うタイミング|地域特性と実例

  5. 不動産のプロとしての見解|本当の「買い時」とは

  6. 今すぐ確認すべきこと|タイミング判断のチェックリスト


家を買うタイミングを判断する5つの視点

「家を買うタイミングがわからない」という相談を、私は年間100件以上いただきます。実際に住宅購入のご案内をしてきた経験から申し上げると、完璧なタイミングは存在しません。しかし、後悔しないための判断基準は明確にあります。

年齢から考えるタイミング

住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」によると、住宅購入者の平均年齢は44.5歳、中央値は43歳でした(参考:住宅金融支援機構)。30代〜40代で購入した方が全体の約56%を占めています。

私が静岡市で新築戸建住宅の販売を担当してきた実感でも、最も多いのは30代後半〜40代前半のお客様です。この年代が多い理由は主に2つあります。

1つ目は、住宅ローンの返済期間の問題です。多くの金融機関では完済時年齢を80歳までと設定しているため、35年ローンをフルに活用するなら45歳までに組む必要があります。

2つ目は、ライフステージの安定です。結婚、出産を経て家族構成が固まり、子どもの学校区も考慮できる時期だからこそ、「今買うべきか」という相談が増えるのです。

年収から考えるタイミング

同調査によると、住宅購入者の平均年収は669.4万円、中央値は562.2万円です。ボリュームゾーンは年収400〜600万円で、この層が最も多く住宅を購入しています(参考:住宅金融支援機構 フラット35利用者調査)。

返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)は20〜25%以内が目安とされています。国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」では、注文住宅購入者の返済負担率は平均19.4%でした(参考:国土交通省)。

私の経験では、年収の5〜6倍程度の物件価格であれば、無理なく返済を続けられるケースがほとんどです。年収500万円なら2,500〜3,000万円、年収700万円なら3,500〜4,200万円が一つの目安となります。

ライフステージから考えるタイミング

結婚、出産、子どもの進学、親の介護など、人生の節目で住宅購入を検討される方は多いです。

特に多いのが「子どもが小学校に上がる前に」という相談です。学校区を確定させたい、子ども部屋を用意したいという理由が背景にあります。私が担当したお客様でも、お子さんの年長〜小学1年生のタイミングで購入される方が目立ちます。


住宅ローン金利と市場環境|購入タイミングへの影響

金利上昇局面に入った住宅ローン

日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、同年7月と2025年1月に追加利上げを実施しました。現在の政策金利は0.5%です。

住宅ローンの変動金利は、多くの金融機関で0.6〜0.9%前後で推移しています。2024年初頭の0.3〜0.4%台と比較すると上昇していますが、歴史的に見れば依然として低水準です(参考:住まいサーフィン「住宅ローン金利動向」)。

ESPフォーキャスト調査(2025年8月調査)によると、政策金利は2026年12月末までに約1.1%まで上昇する予測が出ています(参考:住宅金融支援機構)。

金利上昇が返済に与える影響

私がお客様に説明する際によく使うシミュレーションをご紹介します。

例えば、3,500万円を35年返済で借りた場合:

  • 金利0.5%:月々返済額 約90,800円

  • 金利1.0%:月々返済額 約98,800円

  • 金利1.5%:月々返済額 約107,200円

金利が0.5%上がるごとに、月々の返済額は約8,000〜9,000円増加する計算です。35年間の総返済額では、0.5%の差で約300〜350万円もの違いが生まれます。

不動産価格の動向

国土交通省の「不動産価格指数」(2024年11月発表)によると、マンション価格指数は2010年比で2倍以上に達しています。一方、戸建住宅は横ばい傾向が続いています(参考:国土交通省 不動産価格指数)。

私が静岡市で実務を行っている実感としても、新築マンションの価格高騰は著しく、「マンションから戸建に切り替えたい」という相談が増えています。


住宅ローン控除の活用|購入時期で変わる節税効果

現行制度のポイント

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローン残高の0.7%が13年間にわたり所得税・住民税から控除される制度です。

2025年に入居する場合、以下の点に注意が必要です(参考:国税庁)。

省エネ基準適合が必須に 2024年以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準に適合していないと住宅ローン控除の対象外となります。「その他の住宅」と呼ばれる省エネ基準未満の住宅では、原則として控除が受けられなくなりました。

借入限度額の違い 住宅の性能によって控除対象となる借入限度額が異なります。

  • 長期優良住宅・低炭素住宅:4,500万円(子育て世帯等は5,000万円)

  • ZEH水準省エネ住宅:3,500万円(子育て世帯等は4,500万円)

  • 省エネ基準適合住宅:3,000万円(子育て世帯等は4,000万円)

子育て世帯への優遇 19歳未満の子を持つ世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯は、借入限度額が上乗せされる優遇措置が2025年も継続されています。

控除額の具体例

私がお客様に説明する際の具体例です。

例:年収600万円の子育て世帯が省エネ基準適合住宅を4,000万円のローンで購入した場合

  • 借入限度額:4,000万円

  • 年末残高3,900万円 × 0.7% = 約27.3万円(年間控除額)

  • 13年間の控除合計:約270〜300万円程度

ただし、実際の控除額は納税額が上限となるため、収入や扶養家族の状況によって変わります。


静岡市で家を買うタイミング|地域特性と実例

静岡市の不動産市場動向

2025年の公示地価によると、静岡市の住宅地平均価格は11万7,137円/㎡で、前年比+0.61%の上昇となりました(参考:国土交通省 地価公示)。

静岡県全体では、住宅地が17年ぶりにマイナス圏を脱しました。商業地は2年連続で上昇しています(参考:静岡県公式サイト 令和7年地価公示結果)。

私が静岡市で観察している地域別の傾向は以下の通りです。

葵区 静岡駅周辺や新静岡セノバ周辺は地価上昇が続いています。特に伝馬町、鷹匠、呉服町エリアは商業地・住宅地ともに需要が堅調です。2025年の葵区平均地価は23万6,800円/㎡で、前年比+2.47%と県内トップの上昇率でした。

駿河区 東静岡駅周辺は土地区画整理事業の完成を受けて需要が高まっています。曲金エリアは住宅地ランキングで上位に入る人気地域です。全体としては横ばい傾向ですが、駅近物件は動きが活発です。

清水区 人口減少の影響を受けて地価下落傾向が続いていますが、草薙駅周辺は再開発効果で上昇しています。一方、三保地区や蒲原地区など沿岸部は津波リスクの懸念から需要が弱含みです。

私が担当した実例

〔ケース1〕子どもの小学校入学前に決断(葵区・30代ご夫婦) 「もう少し待てば金利が下がるかも」と悩んでいたお客様でしたが、ご長男の小学校入学を機に購入を決断されました。結果的に、その後の金利上昇を考えると良いタイミングだったと振り返っておられます。

〔ケース2〕転勤の可能性を考慮(駿河区・40代ご夫婦) 転勤族のため購入を躊躇されていましたが、「お子さんが中学生になるまでは転勤させない」という会社の制度を確認し、購入に踏み切られました。売却しやすい駅近物件を選ぶことで、将来の転勤にも備えた判断でした。

※上記は実務経験に基づく事例を一般化したものです。


不動産のプロとしての見解|本当の「買い時」とは

市場タイミングより個人の状況を優先すべき理由

10年以上この仕事をしてきて確信しているのは、「市場の動向を完璧に読んで購入することは不可能」ということです。

「金利が上がりそうだから急いで買う」「不動産価格が下がるまで待つ」という判断は、しばしば裏目に出ます。私が見てきた中で後悔の少ないお客様に共通するのは、市場よりも自分自身の状況を重視して決断された方々です。

購入を検討すべきサイン

以下の条件が揃っているなら、市場環境に関わらず購入を前向きに検討する価値があると私は考えます。

  1. 住宅ローンを無理なく返済できる収入がある 返済負担率20〜25%以内、かつ今後の収入見通しが立っている

  2. 頭金として諸費用+αの資金がある 物件価格の5〜10%程度の自己資金があれば安心

  3. 5年以上住み続ける見通しがある 転勤・転職・離婚などの可能性が低い、または対処法を想定している

  4. ライフステージの変化がある、または迫っている 結婚、出産、子どもの進学など、住まいのニーズが明確になっている

  5. 家族の合意が得られている 配偶者、同居する家族と購入の方向性で一致している

逆に待つべきケース

一方、以下の状況では購入を急がない方がよいでしょう。

  • 転職直後で勤続年数が1年未満

  • 近い将来、大きな支出(教育費のピークなど)が見込まれる

  • 借入金(カードローン、車のローンなど)の返済が残っている

  • 健康面に不安があり、団体信用生命保険の審査が心配


今すぐ確認すべきこと|タイミング判断のチェックリスト

購入を検討している方へ

まずは以下の項目を確認してください。

□ 返済シミュレーションを行ったか 複数の金融機関で、金利上昇シナリオも含めたシミュレーションを依頼しましょう。

□ 物件の省エネ性能を確認したか 住宅ローン控除を最大限活用するため、省エネ基準適合以上の物件を選びましょう。

□ 諸費用の見積もりを取ったか 物件価格の6〜10%程度の諸費用がかかります。内訳を確認しておきましょう。

□ 将来の売却・賃貸も想定したか ライフスタイルの変化に対応できる立地・間取りかどうかも重要です。

□ 複数の不動産会社に相談したか 1社だけでなく、複数の会社から情報を得ることで視野が広がります。

タイミングで悩んでいる方へ

「今買うべきか、待つべきか」という問いに対する私の答えは、「あなたの状況次第」です。

金利動向、不動産価格、税制は確かに重要ですが、それ以上に大切なのは、あなた自身とご家族の生活設計です。

住宅購入は人生で最も大きな買い物の一つです。焦る必要はありませんが、いつまでも先延ばしにしていると、住宅ローンを組める期間が短くなったり、理想の物件を逃したりするリスクもあります。

まずは現状を整理し、専門家に相談してみることをおすすめします。


まとめ

家を買うタイミングは、金利・不動産価格・税制という市場要因と、年齢・年収・ライフステージという個人要因の両面から判断する必要があります。

金利は上昇局面に入り、住宅ローン控除は省エネ住宅が有利な制度設計になっています。静岡市では葵区を中心に地価上昇傾向が続いています。

しかし、最も重要なのは「あなたにとっての買い時」を見極めることです。返済に無理がなく、ライフプランに合った住まいを選ぶことが、後悔しない住宅購入への第一歩です。

不安や疑問があれば、ぜひお気軽にご相談ください。宅建士として、静岡市での不動産実務経験を踏まえた具体的なアドバイスをさせていただきます。


参照元一覧

著者情報

佐須陽介

佐須陽介

代表・宅地建物取引士

宅地建物取引士(静岡) 第 025298号 賃貸不動産経営管理士(2)第 059325号 住宅ローンアドバイザー

業界歴15

静岡市出身、現在は静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。これまで新築・中古マンション、戸建、賃貸管理まで幅広く携わってきました。

数多くのお客様の住まい選びをサポート。住宅ローンの借り換え支援なども含め、現実的な選択肢を提示することに定評があります。

得意分野: 不動産仲介、住宅ローンアドバイス、賃貸管理、不動産コンサルティング
趣味: 釣り、映画鑑賞、子どもと過ごす時間。休日には街を歩きながら、地域の魅力を再発見することが楽しみです。

静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。私自身もかつて住宅ローンの借り換えを経験し、「数字に強く、現実的な選択肢を示すこと」を常に心がけています。代表メッセージ(Authentill Style)にあるように、お客様に寄り添い、安心できる住まい選びを一緒に進めたいと心から願っています。

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