【2025年最新】若者が家を買えない理由と対策|宅建士が解説

目次

  1. 「家が買えない」若者が増えている現状

  2. 若者が家を買えなくなった5つの理由

  3. 静岡市での実態|都心とは違う地方の現実

  4. 不動産のプロから見た今後の見通し

  5. 家を買いたい若者が今すぐやるべきこと


1. 「家が買えない」若者が増えている現状

住宅購入年齢が上がり続けている

私が新築建売住宅の販売を担当していた頃、お客様の中心は30代前半のご夫婦でした。しかし、ここ数年で明らかに変化を感じています。

住宅金融支援機構の調査によると、フラット35利用者の平均年齢は42.8歳まで上昇しており、40代以上の利用者割合が年々増加しています。

(参考:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」2024年度 https://www.jhf.go.jp/

私のもとに相談に来る20代・30代のお客様からも、「本当は買いたいけど、今の収入では難しい」「頭金を貯めている間に価格が上がってしまう」という声を頻繁に聞くようになりました。

住宅ローンの返済負担が過去最大に

同じく住宅金融支援機構の調査では、総返済負担率が25%以上の割合は44.1%と、ここ10年で最大を記録しています。

これは何を意味するかというと、収入に対して住宅ローンの返済がかなり重い人が増えているということです。私が住宅ローンの相談を受ける際、「毎月の返済は手取りの25%以内に」とお伝えしていますが、実際にはそれを超える返済計画を立てざるを得ない方が増えています。


2. 若者が家を買えなくなった5つの理由

理由①:住宅価格の高騰

最も大きな理由は、住宅価格の急激な上昇です。

不動産経済研究所の調査によると、首都圏の新築マンション平均価格は8,958万円、東京23区では1億3,064万円に達しています(2025年上半期)。

(参考:不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向」2025年7月 https://www.fudousankeizai.co.jp/

東京カンテイのレポートでは、首都圏の新築マンション価格は平均世帯年収(800万円世帯)の12倍を超えているとされています。かつては年収の5〜6倍が目安と言われていた時代と比べると、いかに「買えない」状況になっているかがわかります。

理由②:建築コストの上昇

私が新築建売住宅の販売を始めた10年前と比べ、建築コストは大幅に上がっています。

木材、鉄鋼、コンクリートなどの建築資材価格の高騰に加え、職人不足による人件費の上昇も重なっています。私が知る建築会社の社長も「同じ仕様の家でも、5年前より1,000万円近く建築費が上がっている」と話していました。

新築の価格が上がれば、買えない人が中古に流れ、中古の価格も上がる。この連鎖が止まらない状況です。

理由③:住宅ローン金利の上昇局面

2024年3月、日銀はマイナス金利政策を解除しました。その後も利上げが続き、2025年1月には政策金利が0.5%まで上昇しています。

三菱UFJ銀行の場合、変動金利は0.595%~、35年固定金利は2.570%~となっています(2025年7月時点)。

私がお客様に住宅ローンの説明をする際、「変動金利が今後上がる可能性がある」とお伝えすると、多くの方が不安そうな表情をされます。「今でもギリギリなのに、金利が上がったら払えなくなる」という声も少なくありません。

理由④:賃金の伸び悩み

住宅価格は上がっているのに、賃金はそれに追いついていません。

私が20代・30代のお客様と話していて感じるのは、「収入は増えているけど、物価の上昇に追いついていない」という実感です。特に静岡のような地方では、東京ほど賃上げが進んでいない企業も多いのが現実です。

理由⑤:非正規雇用・転職の増加

住宅ローンの審査では、勤続年数や雇用形態が重視されます。

私の経験では、非正規雇用の方や、転職して間もない方は、希望する金額の融資を受けられないケースが多いです。「正社員になって3年は待ってください」とお伝えせざるを得ないこともあります。

働き方が多様化する中で、住宅ローンの審査基準が追いついていない面もあると感じています。


3. 静岡市での実態|都心とは違う地方の現実

静岡市は「まだ買える」エリアがある

東京23区の新築マンションが1億円を超える中、静岡市では3,000万円台〜4,000万円台で新築戸建てを購入できるエリアがまだあります。

私が最近担当した物件でいえば、清水区の駅から徒歩15分程度の新築建売住宅が3,500万円前後、駿河区の築20年以内の中古戸建てが2,500万円前後で取引されています。

ただし、人気エリアは静岡市でも価格が上昇しています。特に東静岡駅周辺や、葵区の安東・城北エリアは、5年前と比べて500万円〜1,000万円ほど上がっている印象です。

若い世代の相談内容の変化

私のところに相談に来る20代・30代のお客様の傾向として、以下のような変化を感じています。

5年前によく聞いた相談:

  • 「新築と中古、どちらがいいですか?」

  • 「頭金はいくら必要ですか?」

最近よく聞く相談:

  • 「そもそも今買うべきですか?」

  • 「一生賃貸でもいいのでしょうか?」

  • 「親からの援助がないと無理ですか?」

「買うかどうか」以前の段階で悩んでいる方が増えているのです。

エリアによる「買える・買えない」の差

静岡市内でも、エリアによって状況は大きく異なります。

比較的買いやすいエリア:

  • 清水区(蒲原、由比方面)

  • 葵区北部(山間部寄り)

  • 駿河区南部(大浜、中島方面)

価格が上がっているエリア:

  • 東静岡駅周辺

  • 静岡駅徒歩圏

  • 葵区の文教地区(安東、城北など)

私が若いお客様にアドバイスしているのは、「利便性」と「価格」のバランスを考えることです。駅から少し離れても、スーパーや学校が近ければ生活には困りません。


4. 不動産のプロから見た今後の見通し

住宅価格が大きく下がる可能性は低い

「いつか下がるまで待とう」と考える方もいらっしゃいますが、私の見立てでは、住宅価格が大幅に下がる可能性は低いと考えています。

その理由は以下の通りです。

①建築コストは下がらない 資材価格や人件費は、一度上がると簡単には下がりません。特に職人不足は深刻で、今後も人件費は上昇傾向が続くと予想されます。

②土地の供給は限られる 人気エリアの土地は限られています。相続による売却が増えても、利便性の高い土地は需要が途切れません。

③金利上昇が需要を抑えても、価格は維持される傾向 金利が上がると買える人は減りますが、売り手も「安く売りたくない」ので、価格が大幅に下がることは少ないです。

「二極化」がさらに進む

私が予想しているのは、「二極化」のさらなる進行です。

価格が維持・上昇するエリア:

  • 駅近物件

  • 利便性の高い立地

  • 築浅・状態の良い物件

価格が下がる可能性があるエリア:

  • 駅から遠い物件

  • 人口減少が進む地域

  • 築古で状態の悪い物件

明治大学の野澤千絵教授も著書で指摘されているように、住宅購入を検討する世代(25〜54歳)の世帯数は2025年をピークに減少していくと予測されています。需要が減る中で、「選ばれる物件」と「選ばれない物件」の差はますます広がるでしょう。

(参考:野澤千絵「2030-2040年 日本の土地と住宅」2024年12月)


5. 家を買いたい若者が今すぐやるべきこと

①自分の「買える金額」を把握する

まず最初にやるべきは、住宅ローンの事前審査を受けることです。

事前審査は無料で、信用情報に傷がつくことはありません。「いくら借りられるか」がわかれば、現実的な物件探しができます。

私がお客様に伝えているのは、「借りられる金額」と「返せる金額」は違うということです。銀行が貸してくれる金額が、必ずしも無理なく返せる金額とは限りません。

目安として、毎月の返済額は手取り収入の25%以内に抑えることをお勧めしています。

②頭金を貯めながら「相場観」を養う

「頭金を貯めている間に価格が上がってしまう」という不安は理解できます。しかし、頭金ゼロで購入するリスクも大きいです。

私のお勧めは、頭金を貯めながら、希望エリアの物件情報を定期的にチェックすることです。SUUMOやアットホームで気になる物件を見続けていると、「このエリアの相場はこのくらい」という感覚が身につきます。

相場観があれば、「この物件は割高」「これはお買い得」という判断ができるようになります。

③「新築」にこだわらない選択肢を持つ

若いお客様の中には、「どうせ買うなら新築」という方も多いです。しかし、中古住宅やリノベーションという選択肢も検討する価値があります。

私が最近担当した事例では、築25年の中古戸建てを1,800万円で購入し、500万円かけてリノベーションしたお客様がいらっしゃいました。合計2,300万円で、新築同様のキッチンや浴室を手に入れられたのです。

新築にこだわらなければ、選択肢は大きく広がります。

④「買わない」という選択も否定しない

最後に、これは意外に思われるかもしれませんが、「買わない」という選択も間違いではありません。

私は不動産会社の人間ですが、すべての人に「家を買うべき」とは言いません。転勤が多い方、独身で身軽でいたい方、趣味や旅行にお金を使いたい方。ライフスタイルによっては、賃貸の方が合っている場合もあります。

大切なのは、「買えないから賃貸」ではなく、「自分で選んで賃貸」と思えるかどうかです。


まとめ

若者が家を買えなくなっている背景には、住宅価格の高騰、建築コストの上昇、金利の上昇など、複合的な要因があります。

しかし、静岡市のような地方都市では、まだ「買える」エリアが残されています。大切なのは、自分の収入に見合った物件を、冷静に選ぶことです。

焦って無理な買い物をする必要はありません。まずは住宅ローンの事前審査を受け、自分の「買える金額」を把握するところから始めてみてください。

住宅購入は人生で最も大きな買い物のひとつ。後悔のない選択ができるよう、本記事がお役に立てば幸いです。


■ 参考データ出典一覧

  • 住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」2024年度(https://www.jhf.go.jp/

  • 不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向」2025年上半期(https://www.fudousankeizai.co.jp/

  • 野澤千絵「2030-2040年 日本の土地と住宅」講談社、2024年12月

著者情報

佐須陽介

佐須陽介

代表・宅地建物取引士

宅地建物取引士(静岡) 第 025298号 賃貸不動産経営管理士(2)第 059325号 住宅ローンアドバイザー

業界歴15

静岡市出身、現在は静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。これまで新築・中古マンション、戸建、賃貸管理まで幅広く携わってきました。

数多くのお客様の住まい選びをサポート。住宅ローンの借り換え支援なども含め、現実的な選択肢を提示することに定評があります。

得意分野: 不動産仲介、住宅ローンアドバイス、賃貸管理、不動産コンサルティング
趣味: 釣り、映画鑑賞、子どもと過ごす時間。休日には街を歩きながら、地域の魅力を再発見することが楽しみです。

静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。私自身もかつて住宅ローンの借り換えを経験し、「数字に強く、現実的な選択肢を示すこと」を常に心がけています。代表メッセージ(Authentill Style)にあるように、お客様に寄り添い、安心できる住まい選びを一緒に進めたいと心から願っています。

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