【2025年版】家を売るか貸すか?宅建士が徹底比較|判断基準とシミュレーション

目次

  1. 売るか貸すかの判断基準

  2. 家を売るメリット・デメリット

  3. 家を貸すメリット・デメリット

  4. 売却と賃貸の比較表

  5. 収支シミュレーション

  6. 税金の違いを理解する

  7. 状況別おすすめ判断

  8. よくある質問(FAQ)

  9. まとめ


導入

「転勤で自宅を空けることになった」 「相続した実家をどうしようか迷っている」 「住み替えで今の家を手放すべきか悩んでいる」

このような状況で、家を「売る」のか「貸す」のか、判断に迷う方は非常に多いです。

どちらも一長一短があり、正解は人によって異なります。ただし、判断基準を知らないまま決めてしまうと、後から「こうすればよかった」と後悔することも。

この記事では、売買仲介・賃貸管理の両方の実務経験を持つ私が、売却と賃貸それぞれのメリット・デメリット、収支シミュレーション、税金の違いまで詳しく解説します。


1. 売るか貸すかの判断基準

この記事での比較基準

家を「売る」か「貸す」かを判断するには、以下の基準で検討することをおすすめします。

①将来その家に住む予定があるか

②まとまった資金が必要か、継続収入が欲しいか

③物件の立地・状態は賃貸需要があるか

④管理の手間をかけられるか

⑤住宅ローンの残債はあるか

⑥税金面でどちらが有利か

基本的な判断フローチャート

迷ったときは、まず以下の順番で考えてみてください。

STEP1:将来その家に住む予定はありますか? → ある → 「貸す」を検討 → ない → STEP2へ

STEP2:まとまった資金が今必要ですか? → はい → 「売る」を検討 → いいえ → STEP3へ

STEP3:物件に賃貸需要はありますか? → ある → 「貸す」を検討 → 少ない → 「売る」を検討

(参考:GRO-BELラボ「家を売るか貸すか悩んだらどうする?」https://gro-bels.co.jp/labo/house-sell-or-rent/ 2025年6月確認)


2. 家を売るメリット・デメリット

売るメリット

①まとまった資金が手に入る

家を売却すれば、一度に大きなお金を得ることができます。住宅ローンの返済、新居の購入資金、老後資金など、まとまった資金が必要な場合は売却が適しています。

築年数が浅いほど高値で売れる傾向があるため、将来住む予定がないなら早めに売却した方が有利なケースが多いです。

②維持管理の手間・コストがなくなる

家を所有しているだけで、固定資産税、火災保険料、修繕費などのコストがかかります。売却すれば、これらの負担から解放されます。

また、建物は放置すると劣化が進みます。定期的な換気や点検など管理の手間もなくなります。

③税金の優遇措置が使える

マイホームを売却した場合、**「3,000万円特別控除」**という大きな税制優遇が受けられます。譲渡所得(売却益)から最大3,000万円を控除でき、多くのケースで譲渡所得税がゼロになります。

(参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

ただし、この特例は住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却しないと適用できなくなるので注意が必要です。

売るデメリット

①家を手放すことになる

一度売却すると、その家には戻れません。思い入れのある家や、将来住む可能性がある場合は、売却後に後悔することも。

②売却には時間がかかることも

物件や市況によっては、買い手が見つかるまで数ヶ月〜1年以上かかることもあります。急いで売ると、希望価格より安くなる可能性もあります。

③諸費用がかかる

売却時には仲介手数料(売却価格の3%+6万円程度)、印紙税、抵当権抹消費用などがかかります。これらの諸費用を差し引いた「手残り」で考える必要があります。


3. 家を貸すメリット・デメリット

貸すメリット

①継続的な家賃収入が得られる

賃貸に出せば、毎月の家賃収入を得ることができます。年金の足しにしたい、住宅ローンの返済に充てたいという方には魅力的です。

(参考:すまいステップ「家は売る・貸すどっちがお得?」https://sumai-step.com/column/article/2006/ 2025年10月確認)

②所有権を維持できる

売却と違い、家の所有権は自分のままです。将来的に自分や家族が住む選択肢を残せます。

③資産として残せる

不動産は資産として子どもに残すこともできます。賃貸経営を続けながら、いずれ相続させるという選択肢もあります。

貸すデメリット

①空室リスクがある

入居者が見つからなければ、家賃収入はゼロです。空室期間中も固定資産税、管理費などのコストは発生し続けます。

②維持管理のコスト・手間がかかる

入居者募集、契約手続き、クレーム対応、退去時の原状回復など、賃貸経営には様々な業務が発生します。管理会社に委託すれば手間は減りますが、家賃の3〜5%程度の管理手数料がかかります。

また、設備故障時の修繕費用、リフォーム費用なども発生します。

③入居者トラブルのリスク

家賃滞納、騒音トラブル、退去時の原状回復トラブルなど、入居者に関するリスクがあります。

④簡単に解約できない

賃貸借契約は借主保護の観点から、貸主側からの解約が制限されています。「やっぱり売りたい」と思っても、入居者がいる間は簡単には売却できません。定期借家契約であれば期間満了で終了しますが、普通借家契約の場合は退去交渉が必要になることも。

(参考:八城地建「家を売るか貸すかで悩む!」https://www.8shiro.jp/sell-column/preparation/776/


4. 売却と賃貸の比較表

項目

売却

賃貸

収入の形態

一括で大きな金額

毎月の家賃収入

所有権

手放す

維持

維持管理

不要になる

必要(委託可能)

固定資産税

不要になる

毎年必要

空室リスク

なし

あり

入居者トラブル

なし

あり

将来住む可能性

なくなる

残る

税金の優遇

3,000万円特別控除

経費として控除

初期費用

仲介手数料等

リフォーム等

※自社作成の比較表


5. 収支シミュレーション

【事例】静岡市の築15年・3LDKマンション

以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

物件情報

  • 所在地:静岡市葵区

  • 築年数:15年

  • 間取り:3LDK(70㎡)

  • 売却想定価格:2,500万円

  • 家賃相場:月10万円

売却した場合

項目

金額

売却価格

2,500万円

仲介手数料(3%+6万円+税)

約89万円

印紙税

1万円

抵当権抹消費用

約2万円

手残り

約2,408万円

※ローン残債がある場合は、さらに残債を差し引いた金額が手残りとなります。 ※3,000万円特別控除が適用できれば、譲渡所得税はかからないケースが多いです。

賃貸に出した場合(10年間)

項目

年間金額

10年間合計

家賃収入

120万円

1,200万円

管理手数料(5%)

△6万円

△60万円

固定資産税・都市計画税

△12万円

△120万円

火災保険料

△1万円

△10万円

修繕費用(平均)

△10万円

△100万円

年間手残り

約91万円

約910万円

※空室期間、リフォーム費用は含んでいません。 ※家賃は築年数に応じて下落する可能性があります。

シミュレーション結果の比較

  • 売却:一括で約2,408万円

  • 賃貸10年:累計約910万円(家を所有したまま)

単純な金額比較では売却の方が大きいですが、賃貸の場合は10年後も家(資産)が残ります。

私の実務経験から言えることは、賃貸需要が低いエリアでは空室期間が長くなり、シミュレーションより大幅に収益が下がるケースが多いということです。逆に、駅近など立地の良い物件は、想定以上の家賃収入を得られることもあります。


6. 税金の違いを理解する

売却時の税金

家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税がかかります。

譲渡所得の計算式 譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

税率(所有期間による)

  • 5年以下(短期譲渡所得):39.63%

  • 5年超(長期譲渡所得):20.315%

(参考:HOME4U「自宅の売却で使える3,000万円控除とは?」https://www.home4u.jp/sell/juku/kodate/sell-249-21332

3,000万円特別控除

マイホームを売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。

適用条件

  • 自分が住んでいた家(居住用財産)であること

  • 住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却すること

  • 親子・夫婦など特別な関係者への売却でないこと

  • 売却年の前年・前々年に同じ特例を受けていないこと

(参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

重要な注意点

賃貸に出すと3,000万円特別控除が使えなくなる可能性があります。

賃貸に出した時点で「居住用財産」ではなくなるため、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却しないと、この特例が適用できなくなります。

つまり、「とりあえず賃貸に出して、3年以上経ってから売却する」と、数百万円の税金がかかる可能性があるのです。

これは私が相談を受ける中で、意外と知られていない重要なポイントです。

賃貸時の税金

家賃収入は不動産所得として、給与など他の所得と合算して所得税・住民税の対象になります。

ただし、以下の費用は経費として控除できます。

  • 管理手数料

  • 固定資産税・都市計画税

  • 火災保険料

  • 修繕費用

  • 減価償却費

  • ローン利息(元本部分は不可)


7. 状況別おすすめ判断

売却をおすすめするケース

①将来その家に住む予定がない

今後住む予定がないなら、築年数が浅いうちに売却した方が高く売れます。

②まとまった資金が必要

住み替えの頭金、ローン完済、老後資金など、まとまったお金が必要な場合は売却が適しています。

③物件の立地・状態が良くない

駅から遠い、築年数が古い、間取りが使いにくいなど、賃貸需要が低い物件は空室リスクが高いため、売却をおすすめします。

④管理の手間をかけたくない

遠方に住んでいる、忙しくて管理に時間をかけられない方は、売却の方がストレスがありません。

賃貸をおすすめするケース

①将来その家に住む可能性がある

転勤で一時的に離れるが、いずれ戻る予定がある場合は、定期借家契約で賃貸に出すことをおすすめします。

②立地が良く賃貸需要が高い

駅近、利便性が高いエリアなど、入居者が見つかりやすい物件は賃貸経営のメリットが活かせます。

③継続的な収入が欲しい

年金の足しにしたい、副収入として家賃を得たいという方には、賃貸が向いています。

④住宅ローンを完済している

ローン完済済みであれば、家賃収入のほとんどが利益になります。賃貸経営のメリットが大きくなります。


静岡市で「売るか貸すか」迷っている方は、Authentill Styleにご相談ください。売却査定と家賃査定の両方を行い、お客様の状況に合わせたアドバイスをいたします。


8. よくある質問(FAQ)

Q1: 住宅ローンが残っていても貸せますか?

A: 原則として、住宅ローン返済中の物件を賃貸に出すことはできません。

住宅ローンは「自分が住むこと」を条件に低金利で借りているため、無断で賃貸に出すと契約違反になります。

ただし、転勤など正当な理由がある場合は、金融機関に相談すれば許可されることがあります。または、賃貸用ローンへの借り換えを検討する方法もあります。

Q2: どちらが「得」ですか?

A: 一概にどちらが得とは言えません。

物件の状態、立地、今後の市況、ご自身の状況によって異なります。ただし、将来住む予定がなく、賃貸需要も低いエリアであれば、早めに売却した方が得になるケースが多いのが実情です。

Q3: 賃貸に出してから売却することはできますか?

A: できますが、注意点があります。

入居者がいる状態での売却(オーナーチェンジ)は可能ですが、投資家向けの価格になるため、一般的に相場より安くなります。

また、住まなくなってから3年目の12月31日を過ぎると、3,000万円特別控除が使えなくなる可能性があります。

Q4: 空き家のまま放置するのはダメですか?

A: おすすめしません。

空き家のまま放置すると、建物の劣化が急速に進みます。また、「特定空き家」に指定されると、固定資産税の優遇が外れ、最大6倍になる可能性もあります。

売るか貸すか決めかねている間も、定期的な換気・点検など最低限の管理は必要です。

Q5: 相続した実家の場合はどうすればいいですか?

A: 相続した空き家にも、一定の要件を満たせば**「空き家特例」で3,000万円控除**が適用できる可能性があります。

(参考:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

ただし、相続から3年以内の売却、1億円以下の売却価格など、要件があります。相続した実家については、早めに専門家に相談することをおすすめします。


9. まとめ

家を「売るか貸すか」の判断ポイントをまとめます。

売却が向いている人

  • 将来その家に住む予定がない

  • まとまった資金が必要

  • 物件の立地・状態が良くない

  • 管理の手間をかけたくない

賃貸が向いている人

  • 将来住む可能性がある

  • 立地が良く賃貸需要が高い

  • 継続的な収入が欲しい

  • 住宅ローンを完済している

特に注意すべきポイント

  • 住まなくなってから3年を過ぎると「3,000万円特別控除」が使えなくなる可能性

  • 賃貸需要が低いエリアでは空室リスクが高い

  • 住宅ローン返済中は金融機関への相談が必要

迷ったときは、売却査定と家賃査定の両方を取ってから判断することをおすすめします。数字で比較することで、より冷静な判断ができます。


静岡市で「売るか貸すか」お悩みの方は、Authentill Styleにご相談ください。売却・賃貸の両方の実務経験を持つスタッフが、お客様の状況に合わせた最適な選択肢をご提案いたします。初回相談は無料です。


■ 参考データ出典一覧

著者情報

佐須陽介

佐須陽介

代表・宅地建物取引士

宅地建物取引士(静岡) 第 025298号 賃貸不動産経営管理士(2)第 059325号 住宅ローンアドバイザー

業界歴15

静岡市出身、現在は静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。これまで新築・中古マンション、戸建、賃貸管理まで幅広く携わってきました。

数多くのお客様の住まい選びをサポート。住宅ローンの借り換え支援なども含め、現実的な選択肢を提示することに定評があります。

得意分野: 不動産仲介、住宅ローンアドバイス、賃貸管理、不動産コンサルティング
趣味: 釣り、映画鑑賞、子どもと過ごす時間。休日には街を歩きながら、地域の魅力を再発見することが楽しみです。

静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。私自身もかつて住宅ローンの借り換えを経験し、「数字に強く、現実的な選択肢を示すこと」を常に心がけています。代表メッセージ(Authentill Style)にあるように、お客様に寄り添い、安心できる住まい選びを一緒に進めたいと心から願っています。

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