【2025年版】個人で家を貸す方法|初心者でも失敗しない手順と注意点を宅建士が解説

目次

  1. 個人で家を貸すことは可能?基本を押さえよう

  2. 家を貸すまでの5つのステップ

  3. 3つの契約方法の違いと選び方

  4. 私が実際にサポートした成功事例

  5. 家を貸す際によくある失敗パターン

  6. 今すぐできる最初の一歩


はじめに

「転勤で家を空けることになったけど、どうやって貸せばいいかわからない」 「相続した実家を活用したいけど、個人でも家は貸せるの?」

こういったご相談を、私は静岡市でほぼ毎月いただいています。

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は900万戸で過去最多、空き家率は13.8%と過去最高 Statistics Japanを記録しています。(参考:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」2024年4月公表 https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf

空き家を放置すると固定資産税の負担だけでなく、建物の劣化、防犯上のリスクなど、さまざまな問題が生じます。一方で、適切に貸し出せば安定した家賃収入を得ながら、大切な資産を維持することができます。

この記事では、宅建士・賃貸不動産経営管理士として多くのオーナー様をサポートしてきた私が、個人で家を貸すための具体的な手順と注意点を解説します。


個人で家を貸すことは可能?基本を押さえよう

結論:資格がなくても家は貸せる

個人で家を貸すのに資格は必要ありません。 Tenrusu自分が所有する物件を賃貸に出す行為は、宅地建物取引業には該当しないため、誰でも始めることができます。(参考:リロの留守宅管理「個人でも家は貸せる?」2025年 https://www.tenrusu.jp/column/news177/

ただし、「貸せる」ことと「うまく運営できる」ことは別問題です。私の経験では、準備不足のまま貸し出しを始めて、後から苦労されるケースを何度も見てきました。

なぜ今、個人で家を貸す人が増えているのか

私が静岡市で不動産業に携わっている実感として、個人で家を貸したいというご相談は確実に増えています。その背景には以下の理由があります。

相談が増えている主な理由

  • 転勤や介護で自宅を離れるケースの増加

  • 相続で実家を引き継いだものの、自分では住まないケース

  • 空き家の固定資産税負担を軽減したい

  • 住宅ローンの返済を家賃収入で補いたい

特に2024年4月からは相続登記が義務化されたこともあり、「相続した実家をどうするか」という相談が急増しています。

家を貸すメリット・デメリット

私が実務で感じる、家を貸すメリットとデメリットを整理します。

メリット

  • 毎月安定した家賃収入が得られる

  • 資産を手放さずに維持できる

  • 建物の劣化を防げる(人が住むことで換気・清掃が行われる)

  • 将来また住むことができる

  • 経費計上による節税効果がある

デメリット

  • 空室リスクがある

  • 入居者トラブルの可能性

  • 修繕費用の負担

  • 確定申告が必要になる

  • すぐに自分で住めなくなる


家を貸すまでの5つのステップ

ステップ1:住宅ローンの確認

まず確認すべきは、住宅ローンの残債です。

住宅ローン返済中の家は、原則として貸し出すことはできません。なぜなら住宅ローンは、契約者本人またはその家族が住む家の購入を目的としているからです。 Tenrusu(参考:リロの留守宅管理 https://www.tenrusu.jp/column/news177/

私の実務経験から

2024年11月に静岡市駿河区のお客様から、築10年の戸建てを貸したいというご相談をいただきました。住宅ローンが残っていたため、まず金融機関に相談いただいたところ、転勤という「やむを得ない事情」として認められ、ローンを継続したまま賃貸に出すことができました。

ポイントは事前に金融機関へ相談することです。無断で貸し出すと契約違反となり、一括返済を求められる可能性があります。

ステップ2:賃貸管理会社を探す

個人で家を貸す場合、管理方法は大きく2つあります。

管理方法

特徴

向いている人

自主管理

すべて自分で行う

時間に余裕がある専業大家

管理委託

管理会社に任せる

本業がある会社員、遠方に住んでいる人

自主管理は、家賃収入のすべてがオーナーに入金されます。一方、家賃回収から退去時の立会いや敷金の精算にいたるまで、すべての賃貸管理業務をご自身で行わなくてはなりません。 Tenrusu(参考:リロの留守宅管理「一軒家を貸すにはどうする?」2025年3月 https://www.tenrusu.jp/column/news142/

私のアドバイス

初めて家を貸す方には、管理会社への委託を強くおすすめします。理由は、入居者対応や家賃滞納への対応など、経験がないと適切に処理できない業務が多いからです。

賃貸管理の手数料の相場は家賃の5%程度 Home4uです。(参考:賃貸経営HOME4U「賃貸管理にかかる手数料の相場」2025年2月 https://www.home4u.jp/lease/contents/manage/lease-12-8150/

例えば家賃8万円の物件なら、月額4,000円程度。この費用で24時間対応のサポートや、トラブル時の対応を任せられると考えれば、十分価値があると私は考えています。

ステップ3:賃料査定を依頼する

管理会社が決まったら、賃料査定を依頼します。

「机上査定」では築年数や面積などのデータを中心に、「訪問査定」では、それらに加えて設備や周辺環境といった条件も踏まえて査定します。訪問査定ではより多くの情報を拠り所として査定を行うため、より精度の高い賃料査定額を知ることができます。 Tenrusu(参考:リロの留守宅管理 https://www.tenrusu.jp/column/news142/

私の実践例

2025年1月に静岡市葵区の築28年・3LDK戸建てを査定した際、机上査定では7.5万円、訪問査定では8.5万円という結果になりました。この差は、実際に物件を見て「南向きで日当たり良好」「駐車場2台分あり」という強みを評価できたからです。

訪問査定は手間がかかりますが、適正な賃料設定のためには必須です。

ステップ4:物件の準備(リフォーム・清掃)

入居者募集の前に、物件の状態を整えます。

最低限必要な準備

  • ハウスクリーニング(プロに依頼)

  • 壁紙の汚れ・キズの補修

  • 設備の動作確認(エアコン、給湯器など)

  • 鍵の交換

私の経験から

リフォームについては「やりすぎない」ことが大切です。2024年10月に静岡市清水区の築30年戸建てをサポートした際、オーナー様は300万円かけて全面リフォームを検討されていました。

しかし、周辺相場を考えると家賃は8万円程度。300万円を回収するには3年以上かかります。結局、50万円程度の最低限のリフォームに抑え、家賃を7.5万円に設定。2週間で入居者が決まりました。

ステップ5:入居者募集・契約

管理会社がポータルサイトなどで入居者を募集します。

退去時のトラブルを避けるために、賃貸開始前に室内・設備の状態を写真や動画で記録することが非常に重要です。 Tenrusu(参考:リロの留守宅管理「家を貸すメリットや貸し出し方法」2025年3月 https://www.tenrusu.jp/column/news91/

私は必ず、入居前に100枚以上の写真を撮影し、日付入りで保存するようお客様に伝えています。退去時の原状回復トラブルを防ぐためです。


3つの契約方法の違いと選び方

家を貸す際の契約方法は、主に3種類あります。将来の計画に合わせて選ぶことが重要です。

普通借家契約

項目

内容

契約期間

通常2年(更新可能)

更新

借主の希望があれば原則更新

賃料

相場通りの設定が可能

向いているケース

長期的に貸し出す予定の物件

契約期間が定められていないので、借主から契約解除の申し出がない限り、自動更新 Home4uされます。(参考:賃貸経営HOME4U「家を貸したい人必見!」2025年5月 https://www.home4u.jp/lease/contents/manage/lease-13-8160/

注意点:貸主の都合で退去をお願いすることが難しい契約です。「将来また住みたい」という方には不向きです。

定期借家契約

項目

内容

契約期間

自由に設定可能(1年、3年など)

更新

なし(再契約は可能)

賃料

普通借家より10〜20%低くなる傾向

向いているケース

転勤で数年後に戻る予定がある

契約期間をあらかじめ設定してから契約し、契約終了後は更新もないため、契約終了後に確実に明け渡しされる。必ず家が手元に戻ってくるという安心感がある Home4uのが特徴です。(参考:賃貸経営HOME4U https://www.home4u.jp/lease/contents/manage/lease-13-8160/

私のアドバイス

転勤などで「3年後に戻る」という方には、定期借家契約をおすすめしています。家賃は若干下がりますが、確実に家を取り戻せる安心感があります。

一時使用賃貸借契約

一時使用賃貸借契約は、契約時に定めた契約期間は遵守しなければいけませんが、3ヶ月前までに告知すれば解約可能です。そのため、定期借家契約よりも期間の柔軟性が高い契約方法です。 Tenrusu(参考:リロの留守宅管理 https://www.tenrusu.jp/column/news177/

転勤期間が確定していない場合などに適した契約方法です。


私が実際にサポートした成功事例

ここでは、私が実際にサポートした事例をご紹介します。

事例1:転勤で3年間だけ貸したいケース

物件情報

  • 静岡市葵区・築15年・3LDK戸建て

  • 相談時期:2024年8月

  • オーナー様の状況:東京への転勤が決定、3年後に戻る予定

対応内容

  1. 住宅ローンの金融機関に相談 → 転勤を理由に継続可能

  2. 定期借家契約(3年)を選択

  3. 賃料査定:月額9.5万円

  4. 最低限のハウスクリーニングのみ実施(費用8万円)

結果

  • 募集開始から3週間で入居者決定

  • 月々の収支:家賃9.5万円 − 管理費0.5万円 − ローン返済7万円 = +2万円

オーナー様からは「転勤中も家を持ち続けられて、しかも少しプラスになって良かった」とのお声をいただきました。

事例2:相続した実家を活用したいケース

物件情報

  • 静岡市駿河区・築35年・4LDK戸建て

  • 相談時期:2024年12月

  • オーナー様の状況:親から相続、自分は別の場所に持ち家あり

対応内容

  1. 建物診断を実施 → 構造に問題なし

  2. 水回りのみリフォーム(費用120万円)

  3. 普通借家契約を選択(戻る予定なし)

  4. 賃料査定:月額7万円

結果

  • 2025年1月に入居者決定

  • 年間家賃収入84万円から、固定資産税・管理費を差し引いても年間約60万円のプラス

空き家のまま放置していれば固定資産税の負担だけでしたが、活用することで資産を維持しながら収入を得られるようになりました。


家を貸す際によくある失敗パターン

私が実務で見てきた失敗パターンをお伝えします。

失敗1:相場を無視した高すぎる賃料設定

「思い入れのある家だから」と、相場より高い賃料を設定してしまうケースです。

実例 2024年6月、静岡市清水区のオーナー様は、周辺相場8万円の物件に対して「新築時は高かったから」と10万円で募集を開始。6ヶ月経っても決まらず、結局7.5万円に下げてようやく決まりました。

6ヶ月の空室期間で48万円の機会損失。最初から適正価格で出していれば、この損失は防げました。

失敗2:リフォームのしすぎ

前述しましたが、過剰なリフォームは投資回収が難しくなります。

私の目安は「家賃2年分以内のリフォーム費用」です。家賃8万円なら、リフォーム費用は192万円以内に抑えるべきです。

失敗3:住宅ローンの無断貸し出し

金融機関に相談せず貸し出しを始め、後から発覚して問題になるケースがあります。最悪の場合、一括返済を求められることも。

必ず事前に金融機関へ相談してください。

失敗4:契約形態の選択ミス

「いつか戻りたい」と思っているのに普通借家契約を結んでしまい、戻りたいタイミングで退去をお願いできないケースがあります。

将来の計画を明確にしてから契約形態を選びましょう。


今すぐできる最初の一歩

「家を貸したい」と思ったら、まず以下の3つから始めてください。

1. 住宅ローンの残債を確認する

残債がある場合は、金融機関に「賃貸に出したい」旨を相談します。転勤など正当な理由があれば、多くの場合認められます。

2. 複数の管理会社に賃料査定を依頼する

複数の管理会社を比較して選びましょう。 Home4u1社だけでは適正価格かどうか判断できません。(参考:賃貸経営HOME4U https://www.home4u.jp/lease/contents/manage/lease-30-9614/

私のおすすめは3社以上への依頼です。

3. 将来の計画を明確にする

  • また住む可能性はあるか?

  • いつ頃まで貸したいか?

  • 売却の可能性はあるか?

これによって、選ぶべき契約形態が決まります。


まとめ

個人で家を貸すポイントは3つです。

  1. 住宅ローンは事前に金融機関へ相談:無断で貸し出すとトラブルになります

  2. 管理会社を活用する:初めての方は特に、プロのサポートを受けることで安心して運営できます

  3. 契約形態は将来計画で選ぶ:戻る予定があれば定期借家契約、なければ普通借家契約

空き家の増加が社会問題となる中、持ち家を適切に活用することは、ご自身の資産を守るだけでなく、地域の活性化にもつながります。

静岡市で「家を貸したい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。物件の状況やご希望に合わせた最適なプランをご提案いたします。


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著者情報

佐須陽介

佐須陽介

代表・宅地建物取引士

宅地建物取引士(静岡) 第 025298号 賃貸不動産経営管理士(2)第 059325号 住宅ローンアドバイザー

業界歴15

静岡市出身、現在は静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。これまで新築・中古マンション、戸建、賃貸管理まで幅広く携わってきました。

数多くのお客様の住まい選びをサポート。住宅ローンの借り換え支援なども含め、現実的な選択肢を提示することに定評があります。

得意分野: 不動産仲介、住宅ローンアドバイス、賃貸管理、不動産コンサルティング
趣味: 釣り、映画鑑賞、子どもと過ごす時間。休日には街を歩きながら、地域の魅力を再発見することが楽しみです。

静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。私自身もかつて住宅ローンの借り換えを経験し、「数字に強く、現実的な選択肢を示すこと」を常に心がけています。代表メッセージ(Authentill Style)にあるように、お客様に寄り添い、安心できる住まい選びを一緒に進めたいと心から願っています。

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