賃貸物件を貸す方法|初めての方でも失敗しない完全ガイド
目次
賃貸物件を貸すとは?基本的な考え方
賃貸物件を貸す5つのステップ
私が特に推奨する空室対策の方法
やってはいけないNG行動
今すぐできる最初の一歩
【導入部】
「転勤で自宅を空けることになったけど、売るのはもったいない」「相続した実家をどうしたらいいか分からない」——私のもとには、このような相談が毎月のように寄せられます。
総務省の令和5年「住宅・土地統計調査」によると、全国の賃貸用空き家は443万戸を超え、空室率は約22%に達しています(参考:総務省「住宅・土地統計調査」令和5年)。一方で、首都圏では空室率が減少傾向にあり、東京都11.0%、神奈川県9.8%、埼玉県9.4%と、賃貸需要は依然として高い状況が続いています。
私自身、静岡市葵区の築25年・2LDKマンションで6ヶ月続いた空室を、写真の撮り直しと家賃改定によって2週間で成約させた経験があります。問い合わせ数は月0.5件から5件に増加しました。この記事では、初めて物件を貸す方でも失敗しないよう、実務経験に基づいた具体的な方法をお伝えします。
1. 賃貸物件を貸すとは?基本的な考え方
なぜ「貸す」という選択肢が注目されているのか
持ち家を賃貸に出すことは、単なる空き家対策ではありません。家賃収入を得ながら資産価値を維持できる、有効な資産活用法です。
リクルートの「2024年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」によると、首都圏の賃貸住宅の家賃・管理費は過去最高額を記録しています(参考:リクルート 賃貸契約者動向調査)。住宅価格の高騰と金利上昇により、マイホーム購入を先送りする方が増え、賃貸需要が高まっているのです。
静岡市の賃貸市場の現状
私が日々感じている静岡市の特徴として、駅徒歩圏内のファミリー向け物件は依然として人気が高く、2024年と比較して新規募集時の賃料を平均3,000円程度引き上げても、問い合わせ数に大きな変化はありません。特に住宅購入を断念した層からの需要が増えており、質の高い賃貸物件へのニーズは確実に存在します。
賃貸に出すメリットとデメリット
メリット
家賃収入で固定資産税や維持費をまかなえる
将来、自分や家族が再び住むことができる
人が住むことで建物の劣化を防げる
空き巣被害のリスクを軽減できる
デメリット
入居者トラブルのリスクがある
貸している間は自由に使えない
管理の手間や費用が発生する
住宅ローン控除が適用されなくなる
私の実務経験では、デメリットの多くは「適切な管理会社選び」と「入居審査の徹底」で軽減できます。むしろ空き家のまま放置するリスクの方が大きいと感じています。
2. 賃貸物件を貸す5つのステップ
ステップ1:管理方法を決める
物件を貸す際、まず決めるべきは「自分で管理するか」「管理会社に委託するか」です。
自主管理
入居者募集から家賃回収、トラブル対応まですべて自分で行う
管理手数料がかからない
時間と手間がかかる
管理委託
賃貸管理会社に業務を任せる
管理手数料が発生する(家賃の3〜5%が相場)
遠方に住んでいても安心
リロの留守宅管理によると、管理手数料の相場は家賃の5〜12%程度で、業務範囲によって異なります(参考:リロの留守宅管理「管理手数料の相場」)。
私の経験談 2024年11月、静岡市駿河区の戸建て物件を自主管理で貸し出そうとしたオーナー様から相談を受けました。最初は「手数料がもったいない」とのことでしたが、入居者からの深夜の設備トラブル対応や、契約更新の手続きに疲弊し、3ヶ月後に管理委託に切り替えられました。本業がある方には、管理委託をおすすめします。
ステップ2:賃料査定を依頼し、管理会社を決める
複数の不動産会社に賃料査定を依頼することが重要です。査定額は担当者の経験則から算出される部分が大きいため、1社だけでは相場が分かりません。
管理会社選びのポイント
賃貸仲介・管理を得意分野としているか
地域の賃貸市場に精通しているか
入居率・空室期間の実績はどうか
管理手数料だけでなくサービス内容を比較する
アットホームの「オンラインでの住まい探しに関する調査 2025」によると、入居希望者が不動産会社を選ぶ基準として「取り扱っている物件数が多い」「物件写真の枚数が多い」「物件写真がきれいで見やすい」が上位を占めています(参考:アットホーム調査)。つまり、写真撮影や広告に力を入れている管理会社を選ぶことが、早期成約につながります。
ステップ3:入居条件・家賃を決める
賃貸借契約の種類
契約種類 | 特徴 | 向いているケース |
普通借家契約 | 入居者が希望する限り更新可能 | 長期的に貸し続けたい場合 |
定期借家契約 | 契約期間満了で終了 | 将来自分が住む予定がある場合 |
家賃設定のポイント
周辺相場を調査する
物件の築年数・設備・立地を考慮する
高すぎると空室期間が長引く
安すぎると収益が減り、入居者の質が下がる可能性も
私の失敗談 以前、オーナー様の「少しでも高く貸したい」という希望を優先し、相場より1万円高い家賃で募集したことがあります。結果、6ヶ月間空室が続き、最終的に相場通りに値下げして成約。空室期間の損失は約60万円でした。適正な家賃設定がいかに重要か、身をもって学びました。
ステップ4:入居者を募集し、契約を締結する
入居者募集の流れ
物件情報を作成(写真・間取り図・設備情報)
ポータルサイトやレインズに掲載
内見対応
入居申込・審査
賃貸借契約の締結
鍵の引き渡し
入居審査で確認すべきこと
収入と家賃のバランス(家賃の3倍以上の月収が目安)
勤務先・勤続年数
連帯保証人または保証会社の利用
これまでの居住履歴
入居審査を甘くすると、家賃滞納やトラブルのリスクが高まります。私は審査基準を明確にし、オーナー様にも必ず確認を取るようにしています。
ステップ5:賃貸管理を行う
入居後の管理業務には以下のものがあります。
家賃の集金・送金
滞納時の督促
入居者からのクレーム対応
設備の修繕・メンテナンス
契約更新手続き
退去時の立会い・原状回復
管理会社に委託している場合、これらの業務のほとんどを任せることができます。ただし、大規模な修繕や設備交換の判断はオーナー様が行う必要があります。
3. 私が特に推奨する空室対策の方法
物件写真の質を徹底的に高める
私がこれまでの実務で最も効果を実感しているのは、物件写真の改善です。
先述のアットホーム調査でも、入居希望者が不動産会社を選ぶ基準として写真関連が上位を占めていました。物件の第一印象は写真で決まります。
私の実践例 2024年10月、静岡市葵区の築25年・2LDKマンションを担当しました。オーナー様が撮影した暗い写真では6ヶ月間問い合わせがほぼゼロ。そこでプロカメラマンに依頼し、午前中の自然光を活かした写真に差し替えたところ、問い合わせが月0.5件から5件に急増。2週間で成約に至りました。
写真撮影のポイント
晴れた日の午前中に撮影する
広角レンズで部屋を広く見せる
水回りは特に清潔感を意識
収納の中も撮影する
周辺環境(スーパー、駅など)も掲載する
写真撮影にかかる費用は1〜3万円程度。空室1ヶ月分の家賃を考えれば、十分に元が取れる投資です。
4. やってはいけないNG行動
NG1:相場を無視した高額な家賃設定
「少しでも高く貸したい」気持ちは分かりますが、相場とかけ離れた家賃では入居者は見つかりません。空室期間が長引くほど、収益は減少します。
NG2:入居審査を甘くする
「早く入居者を決めたい」という焦りから、審査を甘くするのは危険です。家賃滞納、騒音トラブル、原状回復費用の問題など、後から大きな損失につながる可能性があります。
NG3:住宅ローンが残ったまま無断で賃貸に出す
住宅ローンが残っている物件を賃貸に出す場合、金融機関への相談が必要です。無断で賃貸に出すと、ローンの一括返済を求められる可能性があります。必ず事前に金融機関に確認しましょう。
NG4:確定申告を怠る
家賃収入を得たら、確定申告が必要になる可能性があります。国税庁によると、不動産所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です(参考:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき」)。
申告を怠ると、無申告加算税や延滞税が課されることがあります。
経費として計上できる主なもの
固定資産税・都市計画税
管理委託手数料
修繕費
火災保険料・地震保険料
減価償却費
ローンの金利部分
青色申告を行えば、最大65万円の控除を受けられます。賃貸経営を始める際は、税理士への相談もおすすめします。
NG5:管理会社を手数料の安さだけで選ぶ
管理手数料が安くても、サービスの質が低ければ意味がありません。入居者対応が遅い、空室期間が長い、トラブル対応が不十分——こうした問題があると、トータルでの損失は大きくなります。
5. 今すぐできる最初の一歩
まず「賃料査定」から始めましょう
物件を貸すかどうか迷っている方は、まず複数の不動産会社に賃料査定を依頼することをおすすめします。査定は無料で行っている会社がほとんどです。
準備するもの
物件の住所・間取り
築年数・構造
設備の状況(エアコン、給湯器など)
現在の物件写真(あれば)
必要な時間 査定依頼自体は10〜15分程度。結果は数日以内に届きます。
査定結果をもとに判断する
査定結果が届いたら、以下の点を確認しましょう。
想定家賃から管理手数料・税金を引いた手取り額
固定資産税や維持費をまかなえるか
空室リスクをどの程度見込むか
「思ったより収益が少ない」「やっぱり売却した方がいい」と判断することもあるでしょう。それも大切な判断です。まずは情報を得ることから始めてください。
まとめ
賃貸物件を貸す際のポイントを3つに絞ると、以下の通りです。
管理会社選びが成功の鍵:手数料だけでなく、サービス内容と実績を重視する
物件写真に投資する:入居者の第一印象は写真で決まる
適正な家賃設定:高すぎず安すぎない、相場に基づいた設定を
賃貸市場は変化しています。住宅価格の高騰により、質の高い賃貸物件へのニーズは確実に存在します。適切な準備と信頼できるパートナーがいれば、初めての方でも安心して賃貸経営を始められます。
静岡市で物件を貸すことをお考えの方へ
Authentill Styleでは、物件ごとに最新の市場データを踏まえた無料相談を行っています。賃料査定から入居者募集、管理まで、地域密着だからこそ実現できる確かな成果と、成約までのしっかりしたサポートをお約束します。お気軽にご相談ください。
著者プロフィール
佐須陽介(さす ようすけ) 株式会社Authentill Style 代表取締役
宅地建物取引士(静岡)第025298号
賃貸不動産経営管理士(2)第059325号
住宅ローンアドバイザー
静岡市生まれ・静岡市育ち。賃貸仲介、賃貸管理、新築建売住宅販売、分譲マンション販売など、不動産業界での幅広い実務経験を持つ。地域に根ざした不動産サービスの提供を通じて、オーナー様と入居者様双方にとって最適な住まいの実現を目指している。
内部リンク候補
「静岡市の賃貸物件が多い時期はいつ?」(お部屋探しのタイミング記事へ)
「賃貸管理会社の選び方」(管理会社比較記事へ)
「空室対策の具体的な方法」(空室対策記事へ)
「確定申告の基礎知識」(税金関連記事へ)
参照元URL
総務省「住宅・土地統計調査」令和5年:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html
国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm
アットホーム「オンラインでの住まい探しに関する調査 2025」:https://athome-inc.jp/news/data/questionnaire/online-chintai-202510/
リロの留守宅管理「管理手数料の相場」:https://www.tenrusu.jp/column/news240/
賃貸経営HOME4U「管理手数料の相場」:https://www.home4u.jp/lease/contents/manage/lease-12-8150/
著者情報

佐須陽介
代表・宅地建物取引士
宅地建物取引士(静岡) 第 025298号 賃貸不動産経営管理士(2)第 059325号 住宅ローンアドバイザー
業界歴15年
静岡市出身、現在は静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。これまで新築・中古マンション、戸建、賃貸管理まで幅広く携わってきました。
数多くのお客様の住まい選びをサポート。住宅ローンの借り換え支援なども含め、現実的な選択肢を提示することに定評があります。
静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。私自身もかつて住宅ローンの借り換えを経験し、「数字に強く、現実的な選択肢を示すこと」を常に心がけています。代表メッセージ(Authentill Style)にあるように、お客様に寄り添い、安心できる住まい選びを一緒に進めたいと心から願っています。
この著者の記事一覧 →