賃貸物件の契約の流れを宅建士が解説|申し込みから入居まで完全ガイド

目次

  1. 賃貸契約の基本的な流れと必要期間

  2. 賃貸契約の具体的な手順【7つのステップ】

  3. 私が特に重視するポイント

  4. 賃貸契約でやってはいけないNG行動

  5. 今すぐできる最初の一歩


はじめに

「賃貸物件を借りたいけど、契約の流れがよく分からない…」「何を準備すればいいの?」

私のもとにも、こうした相談が毎月のように寄せられます。先日も静岡市駿河区で初めての一人暮らしを検討されているお客様から、「ネットで物件は見つけたけど、この先どうしたらいいか分からない」というお電話をいただきました。

2024年のいえらぶGROUPの調査によると、賃貸仲介会社の80%以上が電子契約を導入しており、契約手続きは以前より便利になっています(参考:いえらぶGROUP「不動産の電子契約に関する調査」2024年)。一方で、入居審査に落ちる割合は全体の1〜2割と言われており、事前準備の重要性は変わりません。

この記事では、宅地建物取引士として数多くの賃貸契約をサポートしてきた私が、物件探しから入居までの流れを分かりやすく解説します。この記事を読めば、初めての賃貸契約でも安心して手続きを進められるようになります。


1. 賃貸契約の基本的な流れと必要期間

なぜ契約の流れを理解することが大切なのか

賃貸物件の契約は、単に「気に入った部屋を借りる」という単純なものではありません。入居申し込みから実際に鍵を受け取るまでには、審査や書類手続き、費用の支払いなど、複数のステップを踏む必要があります。

この流れを理解していないと、「審査結果を待っている間に他の人に取られてしまった」「書類が足りなくて契約が遅れた」といったトラブルに巻き込まれることも少なくありません。

賃貸契約にかかる期間の目安

物件探しから入居までに必要な期間は、早くても1週間、平均的には2週間から1か月ほどが目安です(参考:不動産連合隊ジャーナル)。

一般的なスケジュール例:

  • 物件探し・内見:数日〜数週間

  • 入居申し込み:1日

  • 入居審査:2日〜1週間

  • 重要事項説明・契約締結:1〜2日

  • 初期費用の支払い:審査通過後1週間程度

  • 鍵の受け渡し・入居:契約開始日

私の実務経験では、すでに空室で内見ができる物件の場合、申し込みから契約開始日(賃料発生日)まで2週間程度、伸ばせても3週間程度と考えておくのが良いでしょう。2024年11月に担当した静岡市葵区の物件では、お客様が書類を迅速に準備してくださったこともあり、申し込みから10日で鍵のお渡しができました。

静岡の賃貸市場における特徴

静岡市の賃貸市場では、1〜3月の繁忙期を除けば比較的ゆとりを持って物件探しができます。ただし、静岡大学や常葉大学周辺のエリアでは学生向け物件の動きが早いため、希望エリアによっては早めの行動が必要です。


2. 賃貸契約の具体的な手順【7つのステップ】

賃貸契約の流れは、大きく分けて以下の7つのステップで進みます。

ステップ1:希望条件の整理

物件探しを始める前に、まず自分の希望条件を整理しましょう。

整理すべき主な条件:

  • 家賃の上限(目安は手取り収入の3分の1以内)

  • 希望エリア・最寄り駅

  • 間取り・広さ

  • 設備条件(バス・トイレ別、オートロック、エアコンなど)

  • ペット飼育の有無

  • 駐車場の必要性

【私の実践例】

2024年10月、静岡市駿河区で物件を探されていたお客様は、当初「駅から徒歩5分以内」にこだわっていました。しかし詳しくお話を伺うと、実際には自転車通勤を予定されていることが分かり、条件を「駅から徒歩15分以内」に緩和。結果的に、同じ予算で1部屋多い物件に入居することができました。

成功のポイント: 条件には「絶対に譲れないもの」と「できれば欲しいもの」の優先順位をつけておくことが大切です。

ステップ2:物件探し・問い合わせ

希望条件が整理できたら、実際に物件を探します。

物件探しの方法:

  1. 不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME'S、アットホームなど)で検索

  2. 希望エリアの不動産会社に直接相談

  3. 知人や職場からの紹介

気になる物件が見つかったら、メールや電話で不動産会社に問い合わせましょう。問い合わせる物件は1件だけでなく、4〜5件と複数の候補を持っておくのがポイントです。物件情報は日々変動するため、問い合わせ時には空いていても内見までに埋まってしまうことがあるからです。

【よくある失敗パターン】

「1件だけに絞って問い合わせたら、すでに申し込みが入っていた」というケースは非常に多いです。私のお客様でも、第一希望の物件に決め打ちしていた方が、内見直前に「先客が決まりました」と連絡を受け、一から探し直すことになったことがありました。

ステップ3:物件の内見

問い合わせた物件を実際に見学します。

内見時のチェックポイント:

  • 日当たり・風通し

  • 収納スペースの広さ

  • 水回り(キッチン、浴室、トイレ)の状態

  • コンセントの位置と数

  • 携帯電話の電波状況

  • 周辺環境(スーパー、コンビニ、病院など)

  • 夜間の雰囲気(可能であれば)

【私の実践例】

2024年12月に担当した静岡市清水区の物件では、お客様と一緒に昼と夕方の2回内見を行いました。昼間は静かだった物件周辺が、夕方になると近くの工場の操業音が気になることが分かり、別の物件に変更。「2回見てよかった」とお客様から感謝されました。

成功のポイント: 可能であれば、時間帯を変えて複数回内見することをお勧めします。平日と休日、昼と夜では環境が大きく変わることがあります。

ステップ4:入居申し込み

気に入った物件が見つかったら、入居申し込みを行います。申し込みは先着順で受理されるため、良い物件は早めの決断が重要です。

申し込み時に必要な情報:

  • 契約者の氏名、生年月日、現住所、連絡先

  • 勤務先情報(会社名、所在地、電話番号、勤続年数、年収)

  • 緊急連絡先(親族の連絡先など)

  • 連帯保証人情報(利用する場合)

申し込み時に必要な書類:

  • 身分証明書のコピー(運転免許証、健康保険証など)

  • 収入証明書(源泉徴収票、確定申告書など)※物件による

【意外だった気づき】

多くの方が見落としがちなのが「緊急連絡先」の準備です。親御さんの携帯番号を把握していない方が意外と多く、申し込み当日に慌てて確認するケースを何度も見てきました。事前に連絡先を確認しておくことをお勧めします。

ステップ5:入居審査

入居申し込みの後、審査が行われます。審査期間は一般的に2日〜1週間程度です(参考:駅前不動産)。

審査で見られる主なポイント:

  1. 支払い能力:年収と家賃のバランス(月収の3分の1以内が目安)

  2. 職業・勤続年数:安定した収入があるか

  3. 人柄:不動産会社での対応、身なりなど

  4. 過去の滞納歴:保証会社を利用する場合は信用情報を確認

入居審査に落ちる割合は全体の1〜2割と言われています(参考:日本アリバイ協会)。

【私の実践例】

2024年9月、フリーランスとして独立したばかりのお客様の審査をサポートしました。収入が不安定に見えることを懸念されていましたが、直近の確定申告書と取引先との契約書を追加資料として提出することで、無事に審査を通過できました。

成功のポイント: フリーランスや転職直後の方は、収入を証明できる書類を多めに準備しておくと安心です。

ステップ6:重要事項説明・契約締結

審査に通過したら、いよいよ契約手続きです。

重要事項説明とは:

宅地建物取引業法で義務付けられている説明で、宅地建物取引士が物件や契約内容の重要事項を説明します。以下の項目が含まれます。

  • 物件の所在地、構造、設備

  • 契約期間、賃料、更新料

  • 敷金、礼金、解約条件

  • 禁止事項、原状回復義務

現在はオンラインでの重要事項説明(IT重説)も広く普及しており、2024年の調査では賃貸仲介会社の80%以上が電子契約を導入しています(参考:いえらぶGROUP調査2024年)。

契約時に必要な書類:

  • 入居者全員分の住民票

  • 契約者の印鑑(認印可の場合が多い)

  • 身分証明書

  • 収入証明書(申し込み時に未提出の場合)

  • 連帯保証人の印鑑証明書(利用する場合)

【よくある失敗パターン】

「契約書の内容をよく読まずにサインしてしまい、後からペット禁止だと分かった」「解約予告が2か月前と知らなかった」といったトラブルは少なくありません。重要事項説明は長くて退屈に感じるかもしれませんが、不明点があれば必ずその場で質問してください。

ステップ7:初期費用の支払い・鍵の受け渡し

契約が完了したら、初期費用を支払い、鍵を受け取ります。

初期費用の内訳と相場:

初期費用の総額は、一般的に家賃の4〜6か月分が目安です(参考:SUUMO)。

項目

相場

敷金

家賃1〜2か月分

礼金

家賃0〜2か月分

前家賃

家賃1か月分

仲介手数料

家賃0.5〜1か月分+税

火災保険料

1〜2万円/年

保証会社利用料

家賃0.5〜1か月分

鍵交換費用

1〜2万円

【私の実践例】

2024年11月、家賃6万円の物件をお探しのお客様に初期費用の見積もりを作成したところ、約30万円という金額に驚かれました。しかし、敷金・礼金ゼロの物件に変更し、フリーレント(入居後1か月の家賃無料)付きの物件をご紹介したところ、初期費用を約18万円まで抑えることができました。

成功のポイント: 初期費用は物件によって大きく異なります。見積もりは必ず事前に確認し、不明な項目があれば質問しましょう。


3. 私が特に重視するポイント

数多くの賃貸契約をサポートしてきた中で、私が特に重要だと感じているのは「入居審査対策」です。

なぜ入居審査対策が重要なのか

入居審査に落ちると、また一から物件探しをやり直すことになります。時間的・精神的な負担は大きく、引越しのスケジュールにも影響します。

審査に落ちる原因の多くは、実は「準備不足」です。収入に見合った物件を選ぶ、必要書類を事前に揃える、不動産会社での対応に気をつける——これらを意識するだけで、審査通過率は大きく上がります。

審査通過のための具体的なアドバイス

1. 家賃は月収の3分の1以内に抑える

年収300万円(月収25万円)であれば、家賃8万円以下を目安にしましょう。これを超えると、審査が厳しくなる傾向があります。

2. 書類は早めに準備する

収入証明書(源泉徴収票)や住民票は、申し込み前に取得しておくとスムーズです。特に住民票は取得に時間がかかる場合があります。

3. 不動産会社での対応に気をつける

不動産会社の担当者は、あなたの人柄も見ています。清潔感のある服装、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。

【2024年の実績】

私が2024年に担当したお客様のうち、事前にこれらのアドバイスをお伝えした方の審査通過率は95%以上でした。事前準備の重要性を実感しています。


【CTA】

物件選びから契約までの流れで不安なことはありませんか?Authentill Styleでは、お客様一人ひとりの状況に合わせた無料相談を行っています。初期費用のシミュレーションや審査対策など、何でもお気軽にご相談ください。


4. 賃貸契約でやってはいけないNG行動

NG行動1:申込書に虚偽の情報を記載する

年収を多めに書いたり、勤務先を偽ったりする方がまれにいますが、これは絶対にNGです。審査で発覚すれば契約できないだけでなく、その不動産会社からは二度と物件を紹介してもらえなくなる可能性があります。

【私自身の失敗談】

新人時代、お客様が年収を実際より高く申告していることに気づかずに申し込みを進めてしまったことがあります。審査で発覚し、お客様との信頼関係も崩れてしまいました。正直に申告していれば、収入に見合った別の物件をご紹介できたはずです。

NG行動2:複数の物件に同時申し込みをする

「審査に落ちた時のために」と複数の物件に同時申し込みをする方がいますが、これはマナー違反です。不動産会社間で情報が共有され、「この人は信用できない」と判断される恐れがあります。

NG行動3:契約前の内見をスキップする

「写真で見たから大丈夫」と内見をスキップする方もいますが、実際に見ないと分からないことは多いです。日当たり、騒音、臭い、周辺環境など、現地でしか確認できない要素があります。

NG行動4:重要事項説明を聞き流す

重要事項説明は法律で義務付けられた大切な手続きです。「早く終わらせたい」という気持ちは分かりますが、契約後のトラブルを防ぐためにも、しっかり内容を確認してください。

【2024年に見た失敗事例】

2024年8月、他社で契約されたお客様から「退去時に高額な原状回復費用を請求された」という相談を受けました。契約書をよく見ると、特約で「退去時のクリーニング費用は借主負担」と明記されていましたが、契約時に説明を聞き流してしまったとのことでした。


5. 今すぐできる最初の一歩

まずは希望条件を書き出しましょう

物件探しの第一歩は、自分の希望条件を明確にすることです。以下の項目をノートやスマホのメモに書き出してみてください。

書き出す項目:

  1. 家賃の上限(月収の3分の1を目安に)

  2. 希望エリア(通勤・通学時間から逆算)

  3. 間取り・広さ

  4. 絶対に譲れない条件(例:バス・トイレ別)

  5. できれば欲しい条件(例:オートロック)

  6. 入居希望時期

必要な時間: 30分〜1時間程度

次にやること

希望条件が整理できたら、不動産ポータルサイトで物件を検索してみましょう。気になる物件が3〜5件見つかったら、不動産会社に問い合わせて内見の予約を取ります。

静岡市で物件をお探しの方は、ぜひAuthentill Styleにもお問い合わせください。地域密着だからこそ、ポータルサイトには掲載されていない物件情報をお伝えできることもあります。


【まとめ】

賃貸物件の契約の流れについて、7つのステップを解説しました。

この記事のポイント:

  1. 契約期間の目安は2週間〜1か月:余裕を持ったスケジュールで動きましょう

  2. 入居審査対策が重要:家賃は月収の3分の1以内、書類は早めに準備

  3. 重要事項説明はしっかり確認:後からのトラブルを防ぐために

初めての賃貸契約は不安なことも多いと思いますが、流れを理解して準備をすれば、スムーズに進められます。この記事が、あなたの新生活の第一歩の助けになれば幸いです。


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著者情報

佐須陽介

佐須陽介

代表・宅地建物取引士

宅地建物取引士(静岡) 第 025298号 賃貸不動産経営管理士(2)第 059325号 住宅ローンアドバイザー

業界歴15

静岡市出身、現在は静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。これまで新築・中古マンション、戸建、賃貸管理まで幅広く携わってきました。

数多くのお客様の住まい選びをサポート。住宅ローンの借り換え支援なども含め、現実的な選択肢を提示することに定評があります。

得意分野: 不動産仲介、住宅ローンアドバイス、賃貸管理、不動産コンサルティング
趣味: 釣り、映画鑑賞、子どもと過ごす時間。休日には街を歩きながら、地域の魅力を再発見することが楽しみです。

静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。私自身もかつて住宅ローンの借り換えを経験し、「数字に強く、現実的な選択肢を示すこと」を常に心がけています。代表メッセージ(Authentill Style)にあるように、お客様に寄り添い、安心できる住まい選びを一緒に進めたいと心から願っています。

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