事業用賃貸物件を借りるなら知っておきたいこと。静岡市で店舗・オフィスを探す前に

目次

  1. はじめに:事業用賃貸物件は「住む」ためではなく「稼ぐ」ための場所

  2. 事業用賃貸物件とは?テナント、店舗、オフィスの世界

  3. 居住用とは全く違う。事業用賃貸物件の特徴

  4. 契約期間が長い、審査も複雑。事業用ならではの習性

  5. 申込順なのに2番手が選ばれる?事業用物件の不思議なルール

  6. 静岡市で事業用賃貸物件を探すなら、覚悟が必要

  7. でも、考えてほしい選択肢がある。それは「中古マンション購入」

  8. 最後に:事業も人生も、「安心」できる基盤があってこそ


1. はじめに:事業用賃貸物件は「住む」ためではなく「稼ぐ」ための場所

「お店を出したい」「事務所を構えたい」

起業や独立を考えている方、事業拡大を目指している方なら、一度は事業用の賃貸物件を探した経験があるのではないでしょうか。

静岡市で宅建士として長く不動産業に携わってきた私は、多くの事業者の方々の物件探しをお手伝いしてきました。飲食店を開きたい方、小さな事務所を構えたい方、ショップをオープンしたい方。皆さんそれぞれに夢があり、情熱があります。

でも、正直に申し上げます。事業用賃貸物件を借りるのは、想像以上に大変なのです。

居住用の賃貸物件を借りる感覚で事業用物件を探すと、戸惑うことばかり。初期費用の高さ、審査の厳しさ、契約条件の複雑さ。そして、何より「売買取引」に似た独特のルールがあることを、多くの方がご存じありません。

今日は、事業用賃貸物件の現実について、私の経験をもとにお話しさせていただきます。そして最後に、ひとつの提案をさせてください。

2. 事業用賃貸物件とは?テナント、店舗、オフィスの世界

まず、事業用賃貸物件とは何かを整理しましょう。

事業用賃貸物件とは、文字通り「事業を行うために借りる物件」のことです。静岡市内でも、駅前の商業ビルに入るテナント、路面店の飲食店、オフィスビルの貸事務所など、さまざまな形態があります。

テナント ビルやショッピングセンターの一角を借りて営業する店舗や事務所を指します。本来「tenant」とは借主という意味ですが、日本では事業用物件を借りる人、またはその物件自体を指す言葉として使われています。

店舗 飲食店、物販店、サービス業など、お客様を迎え入れて商売をする場所です。路面店もあれば、ビルの中に入る空中店舗もあります。

貸事務所・オフィス 主に事務作業や会議を行う場所で、不特定多数の来客を想定していません。ただし、業種によっては顧客との商談の場にもなります。

倉庫・作業場 商品の保管や軽作業を行う場所で、接客は行いません。

静岡市内でも、駅周辺や幹線道路沿いには多様な事業用物件が存在します。しかし、居住用物件とは全く異なる特徴があることを、理解しておく必要があります。

3. 居住用とは全く違う。事業用賃貸物件の特徴

私が静岡市でお客様をご案内してきた経験から、事業用賃貸物件の最大の特徴をお伝えします。

それは、「物件を利用するのは、借主だけではない」ということです。

居住用の賃貸住宅は、借主本人とその家族が暮らすための場所です。しかし、事業用物件は違います。お客様が出入りし、従業員が働き、場合によっては毎日何十人、何百人もの人が利用します。

この違いが、あらゆる面に影響します。

賃料が高い 多くの人が出入りするため、建物の傷みが早いのです。そのため、居住用に比べて賃料は高めに設定されています。同じ広さでも、事業用のほうが1.5倍から2倍近い賃料になることも珍しくありません。

初期費用が高額 賃料が高いということは、「賃料の○ヶ月分」として計算される敷金・礼金・仲介手数料も高くなります。さらに、事業用物件の敷金(保証金)は、賃料の3ヶ月分から6ヶ月分以上に設定されることが一般的です。事業が低迷して賃料滞納が起きるリスクを見越しているためです。

私が静岡市でご案内したお客様の中には、「初期費用だけで100万円を超えた」という方も少なくありません。

消費者契約法による保護がない 居住用の賃貸契約では、消費者契約法によって借主が守られています。しかし、事業用賃貸契約にはこの保護がありません。つまり、契約書の内容次第では、借主に不利な条件を飲まざるを得ないこともあるのです。

居住用物件を事業用に転用するのはNG 「家賃の安い居住用物件を借りて、こっそり事務所として使えばいいのでは?」と考える方もいらっしゃいます。しかし、これは契約違反です。発覚した場合、違約金や契約解除を求められることもあります。

4. 契約期間が長い、審査も複雑。事業用ならではの習性

事業用賃貸物件には、居住用にはない独特の契約形態があります。

契約期間が長期化する 居住用の賃貸契約は通常2年ですが、事業用賃貸は2年から3年、場合によってはそれ以上の契約期間が設定されることがあります。店舗や事務所は内装工事に多額の費用がかかるため、短期間で退去されると借主も貸主も困るからです。

そして、退去する際には3ヶ月から6ヶ月前の申告が必要です。「来月で出て行きます」という居住用の感覚は通用しません。

審査が厳しく、時間がかかる 事業用賃貸物件の入居審査は、居住用よりも格段に厳しくなります。

居住用では「収入があるか」「人柄に問題がないか」を主に見ますが、事業用では以下のような点を審査されます。

  • 事業計画の妥当性

  • 事業の継続性(何年事業をしているか)

  • 売上見込み

  • 資本金や財務状況

  • 業種の適合性(飲食可能な物件か、騒音の出る業種ではないかなど)

私が静岡市でご案内した起業したての個人事業主の方は、「事業計画書を何度も書き直した」とおっしゃっていました。審査に数日から数週間かかることも珍しくありません。

融資審査との二重苦 さらに厄介なのが、事業融資を受ける場合です。物件の契約と並行して、金融機関の融資審査も受けなければなりません。物件は決まったのに融資が下りない、融資は下りたのに物件が流れた、ということも実際に起こります。

5. 申込順なのに2番手が選ばれる?事業用物件の不思議なルール

ここからが、事業用賃貸物件の本当に独特なところです。

居住用の賃貸物件では、基本的に「先着順」です。先に申し込んだ人が優先され、審査に通れば契約できます。

しかし、事業用物件は違います。

申込順だけでは決まらない 事業用物件では、1番手の申込者がいても、2番手、3番手の申込者が選ばれることがあるのです。

なぜか。

貸主(オーナー)は、「より長く、安定して、賃料を払ってくれる借主」を選びたいからです。そして、「自分の物件に合った業種の借主」を選びたいからです。

例えば、こんなケースを静岡市で実際に経験しました。

1番手の申込者は開業したばかりの飲食店。2番手の申込者は創業10年の事務所。どちらも審査は通りましたが、最終的に選ばれたのは2番手の事務所でした。

理由は、「飲食店は水回りや換気設備の負担が大きく、退去時の原状回復費用も高額になりがち。一方、事務所なら建物への負担が少なく、長期入居も見込める」というオーナーの判断でした。

1番手の方は「先に申し込んだのに!」と憤慨されていましたが、これが事業用物件の現実なのです。

売買取引に似た習性 この「選ばれる」という感覚は、不動産の売買取引に近いものがあります。売買でも、最高額を提示した買主が必ず選ばれるとは限りません。売主が「この人になら売りたい」と思う相手を選ぶことがあります。

事業用賃貸も同じです。オーナーは自分の大切な資産を、信頼できる、事業の将来性がある相手に貸したいのです。

6. 静岡市で事業用賃貸物件を探すなら、覚悟が必要

これまでお話ししてきたように、事業用賃貸物件を借りるのは本当に大変です。

高額な初期費用、厳しい審査、長期の契約期間、そして「選ばれる」ための競争。

静岡市で事業をスタートさせたい方、拡大したい方にとって、この現実は決して楽なものではありません。

私自身も、静岡市で賃貸物件を探した経験がありますし、多くの事業者の方々の物件探しをサポートしてきました。その中で痛感するのは、「事業用賃貸は、想像以上にハードルが高い」ということです。

でも、諦めないでください。別の選択肢があります。

7. でも、考えてほしい選択肢がある。それは「中古マンション購入」

ここまで事業用賃貸物件の大変さをお話ししてきましたが、宅建士として、そして静岡市で多くの方と向き合ってきた経験から、ひとつの提案をさせてください。

それは、静岡市の中古マンションを購入するという選択肢です。

「事業用の物件を探しているのに、なぜ中古マンション?」と思われるかもしれません。

でも、考えてみてください。

事業用賃貸物件を借りて店舗や事務所を構えることは、確かにビジネスの一つの形です。しかし、毎月高額な賃料を払い続け、いつかは退去しなければならず、その度に多額の原状回復費用や新しい物件の初期費用がかかる。

一方、中古マンションを購入すれば、それはあなたの資産になります。

SOHOとして使える中古マンションを購入し、住居兼事務所にする。小規模な店舗やサロンなら、マンションの一室を改装して営業する。こうした選択肢も、実は十分に現実的なのです。

静岡市の中古マンション市場は物件数が豊富で、駅近、商業施設近くなど、事業にも適した立地の物件が多くあります。購入すれば、賃料を気にする必要もなく、長期的に見れば経済的にも合理的です。

そして何より、「ここが自分の場所だ」という安心感。事業用賃貸物件のように「選ばれる」かどうかを心配する必要もなく、「いつまで借りられるか」という不安からも解放されます。

事業の基盤は、安定した「場所」があってこそ築けるものです。

8. 最後に:事業も人生も、「安心」できる基盤があってこそ

事業用賃貸物件の現実についてお話ししてきました。

高額な初期費用、厳しい審査、長期契約、そして「選ばれる」ための競争。これらは全て、事業用賃貸物件を借りる上で避けられない現実です。

私が静岡市で多くの事業者の方々をサポートしてきて思うのは、「事業を成功させるためには、まず安心できる基盤が必要だ」ということです。

毎月の賃料に追われ、契約更新のたびに不安を感じ、いつ退去を迫られるかわからない。そんな状態では、事業に集中することも難しくなります。

だからこそ、静岡市で事業をスタートさせたい方、拡大したい方に、ぜひ考えていただきたいのです。事業用賃貸物件だけが選択肢ではない、ということを。

中古マンションを購入し、そこを拠点に事業を展開する。これも立派な一つの形です。

私たちは、お客様一人ひとりの事業計画やライフスタイルに寄り添いながら、最適な選択肢をご提案いたします。事業用賃貸のことも、中古マンション購入のことも、何でもお気軽にご相談ください。

皆様に「安心」と「くつろぎ」に満ちた事業環境をご提案すること。それが、私たち不動産のプロフェッショナルの使命だと考えています。

事業も人生も、「安心」できる基盤があってこそ、前に進めるのですから。


参考情報・出典

著者情報

佐須陽介

佐須陽介

代表・宅地建物取引士

宅地建物取引士(静岡) 第 025298号 賃貸不動産経営管理士(2)第 059325号 住宅ローンアドバイザー

業界歴15

静岡市出身、現在は静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。これまで新築・中古マンション、戸建、賃貸管理まで幅広く携わってきました。

数多くのお客様の住まい選びをサポート。住宅ローンの借り換え支援なども含め、現実的な選択肢を提示することに定評があります。

得意分野: 不動産仲介、住宅ローンアドバイス、賃貸管理、不動産コンサルティング
趣味: 釣り、映画鑑賞、子どもと過ごす時間。休日には街を歩きながら、地域の魅力を再発見することが楽しみです。

静岡市を拠点に不動産仲介・コンサルティング業務を手掛けています。私自身もかつて住宅ローンの借り換えを経験し、「数字に強く、現実的な選択肢を示すこと」を常に心がけています。代表メッセージ(Authentill Style)にあるように、お客様に寄り添い、安心できる住まい選びを一緒に進めたいと心から願っています。

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